【アジア大会】なでしこ金メダルもW杯、東京五輪へ「宿題」残った

2018年09月01日 16時30分

なでしこジャパンは金メダルの歓喜に浸った(ロイター)

【インドネシア・パレンバン31日発】ジャカルタ・アジア大会第14日、サッカー女子決勝で日本代表「なでしこジャパン」が中国を1―0で下し、2大会ぶりの金メダルに輝いた。海外組不在の中で、4月の女子アジアカップ制覇に続くアジア2冠を達成。苦しい展開でワンチャンスをモノにした勝負強さが光ったが、手放しでは喜べないのが実情だ。来年のフランス女子W杯、2020年東京五輪に向けて、なでしこが抱える問題点とは――。

 激しい雨が降りしきる中、最後に笑ったのはなでしこイレブンだった。前半から中国の早いプレスに苦しみ、チャンスすらなかなかつくれない展開。だが、後半11分に投入されたFW菅沢優衣香(27=浦和)は「ワンチャンス、絶対くると思っていた」。その言葉通り、延長戦突入と思われた後半45分、菅沢が前線からプレッシャーをかけて相手のミスを誘うと、FW岩渕真奈(25)が右のMF中島依美(27=ともにINAC神戸)にスルーパス。これをダイレクトで折り返すと、菅沢がゴール前に頭から飛び込んで決勝ゴールを奪った。

 これでなでしこはアジア2冠を達成。とはいえ、高倉麻子監督(50)の表情は晴れなかった。「勝って終われたことは素晴らしい。素直にみんなで喜びたい」としたものの「攻守ともに世界一を取ると言うには課題が多い」と注文をつけた。

 決勝戦の枠内シュートは、菅沢の決勝点の1本だけ。準々決勝の北朝鮮戦は内容も伴う勝利だったが、準決勝の韓国戦とこの日の中国戦は試合内容では負けていた。選手に宿舎でどういう声をかけたいか、と聞かれた指揮官が「またみんなで練習しよう、と伝えます」と答えたのが全てだ。

 今大会はDF熊谷紗希(27=リヨン)ら海外組は不参加で、大黒柱のMF阪口夢穂(30=日テレ)もケガで戦線離脱中。2014年U―17W杯優勝メンバーのMF長谷川唯(21=日テレ)を筆頭とする「高倉チルドレン」の活躍が期待されたが、厳しい環境の中で持ち味を発揮できなかった。

 決勝の得点シーンに絡んだ3人は、いずれも佐々木則夫前監督(60)に重用された選手たち。「ノリオ・ジャパン」の戦力がそのままスライドしている形だ。

 佐々木監督の下で11年W杯で優勝を果たしたDF鮫島彩(31=INAC神戸)は「内容には納得いかない。世界のトップを狙うには、まだちょっと足りない」。頂点を極めた選手から見れば、今のチームは力不足。今大会、苦しい状況でなでしこらしい精神力の強さは見せつけた。世界王座奪回に向けて、真の実力をつけるにはもう少し時間が必要だ。