【前園真聖氏のロシアW杯1次リーグ徹底分析「ZONO’s EYE」】西野ジャパンは“ロシアの奇跡”を起こせるのか。6月14日(日本時間15日)に開幕するサッカーのロシアW杯1次リーグを元日本代表MF前園真聖氏(44=本紙評論家)が徹底分析する「ZONO’S EYE」。最終回では日本の入ったH組の動向に迫った。西野朗監督(63)が就任した日本は苦境に立たされている中、世界列強を相手に決勝トーナメント進出を果たせるのか。前園氏が考える“勝利の方程式”とは――。

 W杯1次リーグH組はコロンビアが頭一つ抜けた存在と言えます。日本はポーランドと2位突破を争う展開になるのではないでしょうか。もちろん、西野ジャパンには期待していますが、まずは初戦コロンビア戦(19日)に負けないことが絶対条件になります。

 コロンビアはFWハメス・ロドリゲス(26=バイエルン・ミュンヘン)やFWラダメル・ファルカオ(32=モナコ)らを擁する難敵。しかし決勝トーナメント進出を見据えて初戦にチームの状態をピークに持ってくるとは思えません。逆に日本が初戦に照準を合わせ完璧な状態で臨めば、勝利は難しいものの引き分けは可能。つまり勝ち点1は取れると見ています。

 2戦目(24日=日本時間25日)のセネガルにはFWサディオ・マネ(26=リバプール)というとんでもない選手がおり、どう止めるのかがポイント。スペースを与えたり、ボールを保持した状態で前を向かせると何でもできるタイプなので、怖がらずに前で潰さなければいけません。逆にマネを抑えれば勝利も不可能ではありません。

 3戦目(28日)に激突するポーランドは、エースFWロベルト・レバンドフスキ(29=バイエルン・ミュンヘン)が注目されていますが、他にも名選手が多い実力国。ここではハードワーク勝負です。粘り強い守備でとにかく失点しないことをテーマに引き分ければ、3試合で勝ち点5。これで決勝トーナメント進出も見えてきます。

 ここまで3か国との対戦ポイントを簡単に挙げましたが、西野ジャパンは守備的な3バック布陣を導入しテストを繰り返している最中です。DF面をしっかり構築できれば、ある程度は守ることができると考えていますが、問題は攻撃面。正直、西野ジャパンでゴールのイメージは湧きません。

 そんな中で唯一、考えられるのはセットプレーです。実際、過去のW杯で日本が勝ち上がったときもセットプレーが有効でした。今大会でも、MF乾貴士(30=ベティス)やMF香川真司(29=ドルトムント)ら俊敏性を備えたドリブラーが果敢に仕掛けて敵陣で相手のファウルを誘発。ゴールに近い位置でFKの好機を得れば、MF本田圭佑(31=パチューカ)の“悪魔の左足”で得点を奪えるでしょう。

 2010年南アフリカW杯で鮮烈なFKゴールを決めた本田も、その後、代表でのキックはいまひとつです。それでもメキシコ移籍でコンディションも上がっており、国際親善試合ガーナ戦(5月30日)では惜しいFKを蹴っていたように、少しずつ照準も合ってきています。十分に期待できるでしょう。

 というわけでH組の1位はコロンビア、2位を争うのはポーランドと日本。緻密な戦略と選手コンディションなど“万全な状態”であることを前提にして日本の1次リーグ突破確率は「40%」くらいではないでしょうか。