西野ジャパンは大丈夫なのか。日本サッカー協会は31日、ロシアW杯に臨む日本代表メンバー23人を発表し、MF本田圭佑(31=パチューカ)、MF香川真司(29=ドルトムント)、FW岡崎慎司(32=レスター)の“ビッグ3”を順当に選出した。しかし経験者を優遇した西野朗監督(63)の選手選考に日本協会の田嶋幸三会長(60)が“難色”を示すなど、恒例となっていた「サプライズ」がなかったことに各方面からため息が漏れている。

 あまりに順当なメンバー選考だった。急な監督交代でロシアW杯に臨むことになった西野監督は国際親善試合ガーナ戦(5月30日)を戦った日本代表26人から、21歳のMF井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ)、22歳のMF三竿健斗(鹿島)、23歳のFW浅野拓磨(ハノーバー)を外し、23人の最終登録メンバーとした。

 ベテラン選手を重視した選考について、指揮官は「経験値のある選手たちも、良いパフォーマンスをしているので、バランスを取ったチーム編成をできるのが理想だと思います」とした上で「これからを担っていく(若手)選手たちは、もっとそういう選手たちを超えることを考えなければいけない」と指摘した。

 W杯メンバーの平均年齢は28・17歳で過去最年長。フレッシュ感のない編成となった。ただでさえ、若手注目株のMF中島翔哉(23=ポルティモネンセ)の落選に不満も出ている中で、20代前半の選手が3人も不選出。これには田嶋会長も「(自分の)予想とは少し違っていたけど、こればかりは100人の監督がいれば100通りの選び方がある。三竿は入らないだろうなと思ったけど、浅野、井手口は希望しては…」と選考外への不満もほのめかした。

 さらに、サッカー界は4年に1度のW杯のたびに大盛り上がりするが、ロシアW杯に向けては大きなムーブメントをつくり出せていない。日本代表はロシアW杯出場権を獲得後に成績が低迷している状況で、マンネリとも言える常連メンバーばかりが名を連ねたことで、その“がっかり感”は各方面に広がるばかりだ。

 W杯1次リーグの試合を中継する民放局関係者は「確かに順当なメンバー選考なんだろうけど、サプライズ選手がいないのは…。ここで中島とか久保(裕也=24、ヘント)らが入ってくればもう少し違う感じになったかもしれないけどね。逆に(サプライズなしが)驚きだよ。盛り上げをどうするかな」と頭を抱えた。代理店関係者も「(サプライズなしは)仕方ない面もありますが、これで本当にW杯は盛り上がりますかね? どうなんですか。やばいですよ」と肩を落とした。

 日本代表が初出場した1998年フランスW杯でエースのカズことFW三浦知良、2002年日韓W杯では10番を背負ったMF中村俊輔がW杯メンバーから落選。一方、06年のドイツW杯でFW巻誠一郎、10年南アフリカW杯でGK川口能活、14年ブラジルW杯ではFW大久保嘉人が選出された「サプライズ」が、W杯ムードを高める起爆剤にもなってきた。W杯壮行試合のガーナ戦を中継したテレビ朝日系の平均視聴率は18・3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と高かっただけに、“ノーサプライズ”の影響は計り知れない。

 日本代表は代表監督の電撃交代に加え、前指揮官の協会提訴、エース本田の言動に対する世間の猛反発などマイナス材料が目につく。西野ジャパンはピッチ内外の現状を好転させることができるのだろうか。