【W杯メンバー候補】乾&原口をアシストする“ドリブル師匠”

2018年05月30日 11時00分

岡部氏が独自の理論を語った

 6月14日に開幕のロシアW杯に臨むサッカー日本代表を陰ながら“アシスト”している男がいる。ドリブルに特化したテクニックを子供からプロ選手まで伝授する「ドリブルデザイナー」の岡部将和氏(34)だ。30日に国際親善試合ガーナ戦(日産)を控える日本代表MF乾貴士(29=エイバル)やMF原口元気(27=デュッセルドルフ)らW杯メンバー候補にもアドバイスを送っており、“世界トップ”のドリブラー誕生を目指している。

 卓越したドリブル技術を持つ岡部氏は、その技術を体系化し、プロアマ、性別、年齢問わず幅広いプレーヤーに伝授している。肩書は「ドリブルデザイナー」。コーチではない。「指導は上から教えているような感じになってしまいます。そういうつもりはなく、選手それぞれの良さを生かすためにデザインするというイメージでデザイナーなんです」と語る。

 様々な選手のスキルアップを“デザイン”している様子をインターネットの動画サイトにアップするなど地道な活動を続けていると反響も大きくなり、サッカー界で知られた存在になった。

 そんなとき、共通の知人を通じて知り合った乾と意気投合。スペインで自身の技術を伝える機会を得たという。「プロの選手が僕に教えてもらおうとするのは勇気がいると思います。でも、だからプロなんだと。一般の人よりうまくなるため、常にアンテナを張っているし、うまくなるためには貪欲なんです」

 ロシアW杯を見据えてドリブラーとして輝こうとする乾に何を伝えてきたのか。岡部氏はこう振り返った。「スペインに行ったのは4か月くらい前ですね。(アルゼンチン代表FWリオネル)メッシ(30=バルセロナ)とか(元オランダ代表FWアリエン)ロッベン(34=バイエルン・ミュンヘン)とか世界的なドリブラーは縦の突破ありきの中へのドリブルなので、縦のドリブルを『より強化しよう』ということでアドバイスさせていただきました」

 一体“縦ありき”とはどういうことなのだろうか。岡部氏は「ドリブルは大きく分けると相手の縦側か中側を取るかの2通り。縦ありきだとDFは後ろに重心がいき、縦、横どちらも対応が遅くなる。横に関してはDFの逆を突いたとしても、DFがその次のプレーにスムーズに移れるため守りやすいのです」と独自の理論を説明した。

 一方、原口に関しては「(ドリブルで)ボールを前に出したときの相手との距離ですね。『その距離何センチですか?』と聞いたら感覚ということだったので、最強のDFが思い切り足を出してきたら何センチ届くのかというところをアドバイスしました」。相手DFの届かない間合いを保てば、ミスがない限りボールを奪われることはないわけだ。

 同氏は元イタリア代表DFマルコ・マテラッツィ氏(44)が足を伸ばして届く距離が180センチだったことを踏まえて、こう解説した。「自分の前に直径22センチのボールがあるので2メートル2センチ(対峙するDFと)空けておけば物理的に届きません。今はもうちょっと伸びる選手もいるだろうし、それに合わせて間合いを変えればいいのです。教えるときは(原口に限らず)『自分が抜きたいDFの最強を想像してください』と伝えています」

 2人はロシアW杯に向けてドリブルのスキルに磨きをかける中、助言は個々の特性やプレースタイルによっても変わり、中には詳細を明かせない要素も含まれているという。岡部氏は「僕が教えたことが生きてくれたらうれしいですね。それで少しでも勝つ確率が上がってくれればと思います」と語る。

 1次リーグ突破は簡単ではないが、原口や乾が勝利に導くプレーをした暁には“その裏に岡部氏の助言あり”となるかもしれない。

【本田への期待】岡部氏は日本代表MF本田圭佑(31=パチューカ)とも親交がある。あるイベントで出会って会話が進むと、本田のプロデュースするサッカースクールで子供たちへの講師をオファーされ、その後に指導が実現したという。同氏はキャリアの集大成としてロシアW杯に臨む本田について「変な崩れ方をしないというか転ばない印象。ボールをキープして時間を一人でつくれる選手でキーになるプレーヤーだと思います」と期待した。

☆おかべ・まさかず=1983年8月1日生まれ。神奈川県出身。サッカー選手として横浜Mジュニアユース、神奈川県立荏田高校、桐蔭横浜大でプレー。大学卒業後はFリーグ(フットサル)の湘南で活躍。現役引退後はフットサル指導者となり、ドリブルデザイナーとしても活動。自ら確立したドリブル理論で子供からプロまで幅広いプレーヤーにアドバイスを送っている。