【KEIRINグランプリ2017(30日平塚)】怪童・深谷 復活1億円へ深イイ話

2017年12月28日 16時30分

“怪童”深谷知広

 湘南バンクで2017年珠玉の喝采を浴びるのは“怪童”深谷知広だ。30日、神奈川県平塚市の平塚競輪場で争われる「KEIRINグランプリ2017」(GP)は、練り込まれた一年の激闘の終結。9人の英雄それぞれがそれぞれのストーリーを背に、賞金1億160万円(副賞含む)と輪界最高の栄誉を争う。最後の主役を演じるのは、久しぶりの大舞台登場になる深谷だ。

 5月、三谷がダービーを制覇し初の100期台タイトルホルダーが誕生したことで、ついに今年は世代交代の年かと思われたが、40歳を超えた諸橋と桑原が初のGP出場を決めるなど、輪史を著述する脚本家は懐の深さを見せた。GPに乗って当然の実力者・平原に、新田と渡辺の2人はタイトル2本を引っ提げての出場。武田も苦しい一年を送りながら43歳でなおS班の誇りを胸にする。浅井も決め手こそ欠いた一年だったが大舞台のイスは早くにつかんでいた。

 そして3年ぶり5回目の出場は深谷――。GPの舞台から離れていたのが不思議とすら言える強さがある。輪界最強を謳歌していたものの一度入り込んだ苦境から這い上がるまでが長かった。「なんとしてもGPの舞台に戻りたい」。口にし続けた思いがようやく今年、実った。

 ただ、脚本家は筆が余ったようだ。この深谷が直前に腰痛を発し、20日の前夜祭から姿を消すというサイドストーリーをねじ込んだ。なぜ、深谷は腰を痛めたのか。伏線は終生のライバル脇本雄太の活躍にある。今月上旬、脇本がワールドカップのケイリンで実に14年ぶりに金メダルを獲得。燃えないわけがない。「ワッキーに一歩先を行かれてますし頑張らないといけないでしょう」の問いかけに「何歩も行かれてます! フフフ」。笑った声に最速を求める少年の響きがあった。

 あどけなさを残す風貌からもだが、やはり深谷には“怪童”の愛称が似合う。脇本の快挙を喜び、また無邪気に「負けられない」と思ってウエートトレーニングでリミットを超えてしまったのだ。そんな子供っぽい深谷の夢は「GPを逃げ切って勝つこと」。警戒が薄れた今回、ペースをつかんで逃げ切る。