船橋最後の優勝者は永井大介に――。船橋オート65年の歴史の最後を刻む、特別GI「共同通信社杯プレミアムカップ」は21日、第12Rで優勝戦が行われ、永井大介(39=船橋、25期)がV。有終の美を飾った。この大会をもって船橋オートは廃止。レース表彰式後、閉場式が行われ、森田健作千葉県知事や選手会の永井船橋支部長らがあいさつ。最後に走路を開放し、多くのファンが名残を惜しんだ。

 閉場式は異様な雰囲気の中で行われた。最初に森田知事があいさつに立つと、廃止に納得がいかないスタンドのファンからは大ブーイング。手拍子とともに“帰れコール”の大合唱も起こった。それに続いた松戸徹船橋市長にも激しい罵声が浴びせられた。

 選手会サイドにマイクが向けられると、スタンドは一転して大歓声に包まれた。永井が「ファンともっと近い位置で話がしたい」と語り、設けられたステージから降りると、参加選手、地元選手が金網付近に一斉に集合。斎藤努選手会会長は「頭の中では分かっていたけど、この場に立つとやるせない。やり方次第では再開できたと思うし、今も納得はしていません」と、やりきれない思いをにじませつつも「4月からは5場でやっていかないといけない。ファンの皆さん、僕たちに付いてきてください」と、埋め尽くしたファンに訴えた。

 続いてマイクを握った船橋選手会支部長の永井もストレートに思いをぶつけた。「選手会一同、関係者が必死に存続に努めてきたが、力及ばず今日を迎えることになってしまった。本当に申し訳ありません」と話すと、盛大な“永井コール”が湧き起こった。最後は「偉大な先輩方、志半ばでこの世界から去った仲間たちのためにも船橋の精神、船橋の魂を継続してオートレース道をまい進していきます」と力強く宣言し、整列した選手が一斉に頭を下げた。

 突きつけられた現実はとてつもなく厳しいが、同じ悲劇を繰り返さないためにも、業界の求心力が試されている。