玉野競輪場が描くミッドナイト戦略…安心してください「撤退しません」

2016年01月03日 09時00分

瀬戸内の雄・山下所長

 いまミッドナイト競輪が熱い。小倉競輪場を皮切りに前橋、青森、高知、佐世保で開催されており、いずれもにぎわいを見せている。1月からは岡山県玉野市の玉野競輪場が6場目として新たに加わる。1月の11~13日にオープニング戦、24~26日に「大阪スポーツ杯」を実施し、2、3月にも2開催ずつ計6節が発表されている。玉野競輪場の描くミッドナイト戦略に迫った。

「ミッドナイト競輪」はその名のとおり深夜の競輪。1Rが午後9時過ぎ、最終レースが午後11時過ぎに設定され、観客はなし。売り場での車券発売はなくネット投票のみで、仕事が終わった後に家でネット観戦しながら投票するという既存の公営競技とは一線を画す斬新なスタイルになっている。年々、売り上げが低迷する傾向にある競輪界の起爆剤として期待され、11年の1月に小倉競輪場でスタートした。他の公営競技と競合しにくい深夜帯に開催することで、既存のファンはもちろん新規ファンの購入意欲を喚起し順調に層が広がっている。現況、昼間のFⅡ3日間で2000万~3000万円程度の赤字を出す競輪場が多くあるなか、1日で1億円前後の売り上げをキープしており収益率も右肩上がりのカーブを描く。また、15年11月にはオートレース(飯塚)で初のミッドナイトが開催されるなど、他の公営競技にも影響を与えており、今や欠かすことのできないキラーコンテンツとなった。

 そんな急成長を遂げるミッドナイト戦線に16年から玉野が正式に加わる。「11年に東日本大震災の影響で記念開催が行われず、単年で3億6000万円の赤字が出たんです。それまではわずかながらプラスでしたから、これは何とかしなくてはと。そこで、たどり着いた結論がミッドナイトへの参入でした。年々、来場者数が目に見えて減っておりナイターでは不安があった。地方競輪が生き残るためには、ミッドナイトを行うことが最善の策」と玉野市競輪事業課・山下浩二所長はミッドナイト実施への経緯を説明する。

 14、15年に小倉競輪場を借り上げ、玉野市開催でレースを実施し下地をつくると、玉野当地の施設やバンクの改修にも着手し、3億3000万円の予算をかけて中央と各コーナーに5つの照明機を設置した。この照明が見どころのひとつとなっている。「全国初のオールLEDなんです。照度はあらかじめ基準があるから他の場と変わらないけど、明るさの質が全然違う。レースがよく見え、バンクの中が輝いている。テレビやモニターからでも十分に伝わるから、ぜひご覧ください」(山下所長)

 他場とは違った独自色を打ち出すための工夫も様々で、インターネット上にボリュームあるホームページを作成し、中継では娯楽と実践を兼ねた個性的な番組づくりを目指す。「ミッドナイトはテレビやネットでの中継が大事。特に“予想”に重きを置き、ファンの購買意欲をそそるようなものをつくりたい。もちろん娯楽の面も大事にして。ほかにもホームページ上でいろいろな企画を考えています」と、藤原洋一副所長は真新しい仕掛けでファンのニーズに応え、幅広いファン層を取り込もうと奔走する。

 オープニングシリーズは、初日と2日目の昼に和歌山記念、夜には松山FⅠが行われるため、ファンの流れをつなぐ動線がスムーズで、一層の売り上げアップが期待できそうだ。山下所長も「収益を上げて市の財源に貢献し本場に快適な施設を整えたい。玉野は撤退しません。ミッドナイトをきっかけに、どんどん発展していきます」とミッドナイトの成功を信じ意気盛んだ。

 競輪事業の存続問題に揺れる場がいくつもあるなか、玉野市の前向きで肯定的な決意表明は競輪界にとって明るいニュース。バンクと同様にこうこうと輝き、風光明媚な瀬戸内海をまばゆく照らしているかのよう。光明が差し込んだ“とにかく明るい玉野競輪場”に注目だ。