44年ぶりの女性レーサーを一門全員でバックアップ

2011年06月14日 16時46分

【白鳥幹太:ギャンブル裏街道】女性2人を含むオートレーサー31期候補生は卒業検定をクリアし、来月のデビュー戦に向け各地で実地訓練を積んでいる。
 実地訓練2クール最終日となった9日、船橋オートに坂井宏朱(ひろみ)候補生(27)の元にあいさつに行った。44年ぶりの女性レーサーを一門全員で バックアップしようと師匠永井大介だけでなく永井の兄弟子に当たる池田政和、西村健、西原智昭、他にも内山高秀、新井恵匠らが駆けつけ、坂井の走りを見 守った。

  写真にある通り、周回練習から戻ってくるたびに池田と永井が手取り足取り指導。永井のソレは“褒めて育てる”。「いいよ〜、それで。だんだんと良くなって る。できてるじゃん」。ビデオカメラ片手に坂井の走行模様を録画。戻ってくるとロッカーで即座に再生し、フォームやグリップ操作を細かく指導した。“愛弟 子”だけでなく船橋配属予定の他の候補生も自らのロッカーに呼び、同様にアドバイスを送った。
 走行練習は約2時間。照りつける日差しの下、続いた。時がたつにつれ坂井を囲む面々がみな「あいつ、大丈夫か」とある不安を口にした。練習内容やタイムなど実力に関する問題ではない。その根性についてだ。絶対に弱音を吐かないのだ。
 限られた時間とあって休憩時間もなく、ひたすら周回を重ねた。最後の2車並走訓練では6周回×3本をインターバルなしでこなした。
「坂井、大丈夫か。疲れてないか?」
 師匠の言葉に「大丈夫です!」。顔は真っ赤。汗びっしょりのまま直立不動で答えていたが、誰の目にもバテバテなのは明らかだった。
 西村が感心する。「あいつ、絶対疲れたって言わねえもんな。俺らなんてレース場に着いたら何もしてねえのにみんな疲れ切ってる姿をアピールしてんのにな。俺らとは大違いだよ」。爆笑の中、池田も「30分間、ヘルメットかぶりっぱなしだぜ…」と坂井の勝負根性に感心した。
 坂井の周辺環境は文句なし。どういう経緯で永井を師匠に迎えたのか取材を進めていくと、ある重要な人物にブチ当たった。船橋選手会支部長の高田克重(38)だ。「大介じゃないと教えられないことがあるから何としてでも大介を親方にしたかった」
 卒業検定タイムは候補生の中でもビリ。“前途多難”の声もある中、支部長は不敵な笑みを浮かべる。
「俺は意外といきなり結果を出すんじゃないかと思ってるんだ」
 その根拠がどうにも気になった。
(この項続く)