坂井を教えられるのは大介しかいない

2011年06月21日 16時45分

【白鳥幹太:ギャンブル裏街道】44年ぶりの女子オートレーサー・坂井宏朱候補生(27)が業界の第一人者である永井大介(34)の下に弟子入りしたことが話題を呼んでいる。
 レーサーになる前から憧れていたスター選手に弟子入り。“乙女の祈り”が通じて、晴れて師弟関係誕生=話題作りと見る向きも多いが、それは早計だ。坂井 を弟子入りさせるに当たり「二つ返事で快諾したのか」との問いに永井はこう答えている。「う~ん、まあそうですね…」。彼の歯切れの悪さが気になり、改め てその真相を探ると船橋選手会支部長・高田克重(38)のところに最終的に行き着いた。
「勤続10年で親方になる資格は生まれる。船橋では順番的にも25期の大介の番。当初、大介は男の子を取りたかったみたいなんだよね。でも、そこは俺が何とかお願いして坂井ちゃんの面倒を見てもらうことにしたんだ。大介じゃないとうまくいかないと思ってるから」
 永井の性格や周辺環境を考慮してのことではない。170センチ、49キロ。上体を立てた独特のフォーム。非力でありながら巧みな操縦技術を持つ永井だからこそ伝授できるのではないか、との支部長なりの思惑があったのだ。
「俺らみたいにパワーでハンドルを操るのじゃなく大介はバランス感覚でうまく操作するタイプ。体格的にも女性に近いし、一番合った乗り方を教えてあげられ るのは大介しかいない。今後の訓練でバランス感覚をうまく伝えることができれば、坂井ちゃんは案外、いいとこいくんじゃないの」
 これが支部長の見立てである。永井にはSGグランドスラマーという表の顔だけでなく、船橋選手会副支部長の肩書もある。両者ともに改革派の旗手で、業界を活性化させるために常に模索している。
 先週、本紙ホームページで公開した動画「坂井宏朱の挑戦」は反響を呼び、ファンだけでなく何人かのレーサーから電話がかかってきた。
「見ましたよ、アレ。ああいうのはなかなかお客さんは見られないですもんね。俺らだって楽しかったですよ。で、次もあるんですよね。何なら自分が吉田幸司さん(佐藤摩弥の師匠)に話を通しましょうか?」
 もう一人の女性レーサー・川口所属の佐藤候補生(19)のデビュー直前の“生声”を望む声も多く、ヒロミの挑戦に続き、マヤの突撃を続編としてお届けする予定だ。
 レーサーの話を聞いていると、これまで伝統ある“男子校”だったのが突然、共学となり、心躍らせている学生の気持ちを楽しんでいるようにも見える。ライバルであると同時に、同業者として多くの人たちが歓迎しているのがヒシヒシと伝わってくるのだ。