西武園競輪ナイターGⅠ「第65回オールスター競輪」(優勝賞金5368万円=副賞含む)は15日の最終日、11Rで決勝戦を行い、自力に転じた脇本雄太(33=福井)が7番手まくりで完全V達成。5月のいわき平「日本選手権」に続いて今年2回目、通算7回目のGⅠ制覇となった。2着は先まくりの松浦悠士。3着にはコースを突いた守沢太志が入った。

〝非情のウイニングラン〟だった。がっくりとうなだれた首に、これまで信じてきた、戦ってきた競輪への思いが込められていた。「半分は寺崎(浩平)に申し訳ないという思い、半分は優勝できて良かったという思い」。先頭で戦ってくれた後輩の思いに対し、番手を守り切って勝つこと、それを己に課していたが、それができなかった。半分、ではなかったろう。

「番手を回った時の自分の技量不足がモロに出た。松浦(悠士)が来たところは警戒していないといけなかった」

 位置を奪われた後は「あのまま内にこだわっても勝機はない」。絶大な人気を集めている立場は忘れるものではない。松浦が番手から出ていく姿を、鬼の形相で追った。こと、ここに至っては勝つことしかなかった。

 当大会は5人目の完全V。それも6日制のナイター開催で成し遂げるという偉業だった。「ナイターになってから去年は2着だったし、優勝したい気持ちはあった」。生粋のゲーマーとして知られるワッキーだけに、コンプリートへの意識は高かった。

 先頭で誰よりも頑張ってきたからこそ、この日の自分の姿が鮮明に見える。屈辱のVといっていい。それを取り返す道のりがまた始まる。ワッキー物語の裏面は、表の面よりもよりハードで長く続く。