岸和田競輪のGⅠ「第73回高松宮記念杯競輪」(優勝賞金3532万円※副賞含む)は最終日の19日、彬子女王殿下がご臨席のもと、12Rで決勝戦を行った。レースは北日本ラインの仕掛けに乗った古性優作(31=大阪)が2角から単騎でまくり、後続を振り切って優勝。今年2月の取手「全日本選抜競輪」以来、通算3回目のGⅠ制覇を地元で達成した。

 グランプリ王者の白いユニホームをまとって帰還した凱旋レースも、仲間たちは次々と脱落し、近畿からはたった1人決勝へと勝ち上がった。それでも王者は動じない。抜群の競走センスを発揮して瞬く間にゴール線を突き抜けた。「優勝か分かった? ボクやなと思った(笑い)」と確信を持ち、詰めかけたファンの前でガッツポーズを連発した。

 今大会は初日に野原雅也(28=福井)、2日目と3日目は岡崎智哉(37=大阪)を目標と、近畿の仲間たちとの絆を大事につなぎチャンスをつかんだ。「ラインのおかげで乗せてもらったので、1滴も残さずに出し切るだけでした。脚見せの時の声援がすごくてジーンときて、もし優勝したら泣くなと思ったけど、なぜか泣かなかった(笑い)」と最後の砦を守り切り、会心の笑顔をみせた。

 これで「全日本選抜」に続き今年はGⅠを2V。「ここまで1番車の責任を果たせている」と昨年のグランプリ王者として、そして競輪界の看板を務めるS級S班としての責任を全うしている。

 この先、目指すところは12月30日に平塚競輪場で行われる「KEIRINグランプリ2022」だ。5月のいわき平GⅠ「日本選手権」を制した脇本雄太(33=福井)の出場が決まっており、今から好連係が期待される。

「今回は脇本さんがいなかったけど、こういう時にどういう走りをするかが求められていたと思う。いない時に勝てないと、結局は脇本さん頼みみたいに思われるので…」

 盟友との切磋琢磨が、古性をひと回りもふた回りも大きく成長させる。今から年末が楽しみだ。