宇都宮競輪GⅢ「開設73周年記念 宇都宮ワンダーランドカップ争奪戦」が21日、3日目を開催する。準決勝1Rの中川誠一郎(42=熊本)は心なしか浮かない表情だ。

 かつて〝天才スプリンター″と呼ばれた男も6月には43歳を迎える。つまり、もう若くない。レースになれば、目まぐるしくレベルアップするS級上位との激戦が続き、練習では20歳近く年齢の離れた後輩たちから容赦なく追い上げをくらう日々。とっくに体は悲鳴をあげている。

 だから準決は、あわよくば2日目の二次予選で連係した阿部将大(25=大分)を〝おかわり〟か、西日本のスジをたどって取鳥雄吾(27=岡山)を目標に付けてもらいたそうにしていたが、そうは問屋が卸さない。

 準決Rは中本匠栄(35=熊本)―坂本健太郎(41=福岡)を背に自力を出す構成となった。しかも昨年のGP王者の古性優作(31=大阪)と、是が非でも決勝に乗りたい地元の新鋭、坂井洋(27=栃木)との3分戦とあって、あまり動きたくなさそうだ。

 さらに、かたわらにいた坂本から「ここのバンクレコードを持っているからでしょ。そのイメージでずっと自力にされるんじゃ?」と、ぐうの音も出ない的確すぎる指摘を受けたのは痛恨だった。

 当地は2018年の「開設69周年大会」で初日にバンクレコード(13秒1)を樹立し、驚速まくりで優勝をさらった超ドル箱バンクだからだ。

 後輩2人からあいさつを受けると観念して「それだけ(自力で)期待してもらっているってポジティブに受け止めます。あのとき(優勝したころ)の感じとは遠いですが頑張る」と気を取り直し、重い腰を上げた。