四日市競輪FⅠナイター「スピチャン杯」は14日に初日を開催する。面白そうなのは特選12Rを走る面々の胸中で、目玉は何といっても久しぶりにラインの先頭で自力を出す武田豊樹(48=茨城)の戦い方だ。

 FⅠの初日特選や決勝で単騎で戦う場面こそあるが、近況はほとんど目標選手が配置され自力を出すシーンが激減している。「いつ以来の自力? 覚えていないですね」と話す通りで、恐らく単騎で鐘4カマシを打った昨年3月の川崎S決勝以来かと思われる。

「実戦で(自力を)出す機会がないし、厳しいのは分かっています。それに最近は若手の後ろに付くのもきついぐらいだから。そんな中でも勝機を見出していかないと」と話すとひと息ついて「自在に」とコメントした。

「長い距離を踏む展開も?」との問いには「頑張ります…。いや頑張りたいですね。い、いや頑張れたらいいですね。あんまりプレッシャーをかけないでくださいよ(笑い)」とややたじろぐも「チャンスを逃さぬように走ります!」と勝負師の顔を取り戻した。

 柴田洋輔(36=東京)は「たまに(自力を)出していただければ…。それにファンの人たちもみたいでしょ(笑い)仕事はやります!」と大豪に乗っかり、ちゃっかりマークを決め込んだ。

 近畿勢は鷲田佳史(38=福井)を先頭に渡辺十夢(41=福井)―西岡正一(44=和歌山)とまとまる。渡辺は鷲田に「後ろが重いだろう。600メートルは(いけるな)」と冗談めかしてハッパをかけると「イン切りでもしてくれたら」と鷲田も応戦。その鷲田は同期の武田との対戦に「若いころものすごくお世話になった武田さんとラインの先頭で戦う日が来るとは。最初で最後と思います」と感慨深げだった。

 単騎で戦う志智俊夫(岐阜=49)と安部貴之(38=宮城)の2人は反応が対照的。メンバー表を眺めた志智はまくりが出るか? との問いに対し「こっちかもしれないよ」と笑いながら指さしたそこには「逃」の文字が…。

「逃げの決まり手が1個残っているようです。それは昨年9月の松戸S最終日に逃げてイトマサ(伊藤正樹)とワンツーだったやつ。今回は流れで何でもやる。新たな気持ちで取り組みます!」

 単騎で先行はリスクでしかないが、それぐらいの覚悟を秘めて走るということだ。

 安部は直近4か月の成績でただ一人だけバック数を持っているが「バック1本をマイナスにして欲しいぐらい。もはや自力はきつい。最近、脚が落ちたと実感しています。関東3番手? それも迷惑がかかるから単騎でやります」と及び腰だった。