取手競輪のGⅠ「第37回全日本選抜競輪」(優勝賞金3213万円)は23日、最終日を開催。決勝は松浦悠士(31=広島)の番手まくりを内からかわした古性優作(31=大阪)がV。昨年オールスター以来2回目のGⅠ制覇を飾った。

 レースは意外な流れになった。打鍾過ぎまで隊列に動きがなく、前受けの太田竜馬(25=徳島)がそのまま先行。新田祐大(36=福島)のまくりに合わせて松浦が前に踏み込むとその後ろにいた古性はかぶってしまったが、松浦が外へ車を持ち出した一瞬の隙を突いてインを強襲。グランプリ王者として臨んだ最初のGⅠでいきなり結果を出した。

「太田君のかかりがすごくて脚がたまらなかったし、それでも(まくって)くる新田さん、番手で余裕のある悠士、みんなどんだけ強いんだと(苦笑)。内へ行ったのはとっさの判断。あそこしかなかったですね。結果だけは良かったけど内容には全く満足していない。気持ちいい走りをしてガッツポーズができるように、もっとタテ脚を磨きたい」

 GⅠ優勝者とは思えないコメントは、いかにも自分に厳しくさらなる高みを目指している古性らしい。それでも、確実に古性は進化を続けている。「GⅠを優勝してからオッズが明らかに変わった。脚力は上がっていないけど周りの期待値は上がっている。それを力に変えていけるようになった。S級S班として責任感を持って走れてもいます」

〝今年のグランプリは近畿の仲間と走りたい〟と強く願う古性の走りは、近畿の仲間に大きな刺激を与えた事だろう。脇本雄太(32=福井)も競輪に専念する今年は〝近畿の年〟になるかもしれない。