和歌山競輪GⅢ「開設72周年記念」(和歌山グランプリ)が9日、幕を開ける。一次予選11Rのメインを務める吉田有希(20=茨城)は初のGⅢ参戦に気合十分だ。「初めて自分のやりたいレースができなかった」と悔やんだのは前回の静岡GPシリーズ。本格デビューから初めて準決で飛んだからだ。

 それでもしょげる様子はなく、最終日は泥臭く、諦め悪い大まくりをぶち込み白星をかっさらった。「負けてもヤジが優しかったです。平塚の時なんて人格から容姿まですべてを否定するぐらい強烈にヤジられたから(笑い)。これが、競輪なのかと洗礼を受けた。だけど結局、優勝したからいいでしょう」と悪いことは引きずらず、さっさと気持ちを切り替えられる大胆不敵な部分はまさに競輪選手向きだ。

 その静岡で初めて9車立てを経験したことで、今回はあわてることなくレースに打ち込める。

「アタマが弱いから2車足されるとちゅうちょしてしまうんです(笑い)。だから記念の前に静岡を一本走れたのは大きかったです」

 今シリーズは同県の精神的支柱、武田豊樹(48=茨城)と同配分。勝ち上がり次第では、連係する機会もありそうだ。「憧れの上を行く方。開催中、何でも聞いて吸収します!」と武田の名を聞いたときばかりは目を輝かせ、20歳の青年らしい初々しい表情を見せた。