武雄競輪のGⅢ「第2回施設整備等協賛競輪in武雄 飛龍賞争奪戦」は最終日の28日、3日間の激闘を勝ち抜いたベストナインによる決勝戦(V賞金305万円)が最終12Rで行われる。本命に指名したのは地元大将・荒井崇博(43=佐賀)だが、3車結束の熊本作戦が奏功なら、松岡辰泰(25=熊本)が初優出→初快挙の偉業達成もありそうだ。

 3日目準決10R、松岡辰は3番手に迎え入れた青柳靖起(21=佐賀)がまくり不発なのを確認してからの4角一気。4度目のGⅢ準決で壁を突破した。「(全部9着の)スリーナインだったのピン(1着)で来れるとは」と目を丸くし「脚は余裕があったし得意な感じになったので(1着に)届くかも知れないと思った」と喜んだ。後ろを回った松岡貴久(37=熊本)も3着に連れ込み、ラインでは合格点のレースだった。

 その後の12Rで地元御大の荒井と、上田尭弥(23=熊本)がワンツー。決勝には熊本勢が3選手が名を連ねた。決勝は九州の動向に注目が集まったが、熊本勢は上田―松岡辰―松岡貴の一枚岩で結束。荒井とは別で戦うことになった。

 若手2人の並びの経緯はこうだ。11月福井FⅠ決勝で上田が今開催の特選スタートと、今月までが選考期間のGⅠ「全日本選抜」(来年2月20~23日、取手)の出場権がかかっていたため、松岡辰が先導役を買って出て奮闘。上田の優勝につながった。その際に次は前と後ろを逆にすることを約束していた。そして、すぐにその舞台がやってきた。

 九州期待の大砲候補の番手に松岡辰は「優勝に一番近い位置だと思っている。こういう時はモノにしないといけない」と表情を引きしめた。コマ切れでライン3車は大きなアドバンテージ。上田の後輪にまずは集中。そして、最後は前に踏み込むだけだ。

 栄光の1着ゴールは、昨年7月に本格デビューした117期生では6月松山の町田太我(21=広島)に続いて2人目となるGⅢレーサー誕生を意味する。