東京五輪自転車日本代表の小林優香(27=福岡)やガールズグランプリ3連覇中の児玉碧衣(26=福岡)をはじめとするガールズ選手の宝庫・久留米競輪場は11月6~8日のシリーズからミッドナイト競輪を開催する。ほかにも、ガールズ選手のPRや競輪場の有効活用など競輪の魅力を発信する〝熱過ぎる久留米〟の実情を取材した。

 ガールズケイリンの聖地・久留米競輪場が11月から九州では5場目、全国だと25場目のミッドナイト競輪を開催する。

 久留米市商工観光労働部競輪事業課の稲益久之課長は「令和元年度に中野浩一さんを中心とする委員会(『久留米競輪事業収益向上基本構想検討委員会』)を作って、昨年8月に委員会から5つの施策を提言していただいた。その中で、早くミッドナイトに参入するべきだという意見をいただき、スケジュールを早めることになった」と開催に至った経緯を説明する。

 同場は2011年1月からナイターを開催、ミッドナイトも18年下期から小倉競輪場を借りて実施していたが、自場開催することで経費の削減が見込めるだけでなく、独自の演出も可能となる。

 深夜レースといえば照明や騒音が気になるが、ライトが外に漏れないよう丹念に照射角度を調整。勝負どころで打ち鳴らされる鐘の音は選手にしか聞こえないよう音量を下げる工夫を凝らし「地域の方には安心、安全な競輪をします」(同氏)。

 久留米は小林、児玉のほかにも多くのガールズ選手が在籍しており、施行者も選手の発掘・育成を積極的に支援している。

 2年前には女性限定のトラック自転車競技訓練イベント「九州地区ガールズケイリン合宿」と称し、プロレーサーになるため、スキルや知識を習得するイベントを開催。また、久留米市が医療都市である特性を生かし2年前から産官学連携として久留米大学、選手会、企業、久留米市の4者で選手に対する筋力強化の事業を取り組み、医科学的な調査を行っている。

 そして、今年9月には児玉、小林両選手に「久留米ふるさと大使」を委嘱した。現役レーサーでは初で「全国に情報を発信できる有名な競輪選手。これまで以上に久留米をPRしてもらいたい」(同氏)。ガールズケイリンは、久留米市を発信していくには最高のブランド。稀有な資産に市は支援を惜しまない。

 久留米競輪場は全国の競輪場で日本一の規模を誇っている。この施設を市民に開かれた競輪場にするため、これからは老朽化施設の改善、コンパクト化を模索していく。

 稲益氏は「久留米市の持っている資産、資源である競輪場を有効活用したい。競輪場という視点だけでなく、競輪開催がない時でもいろんなところで楽しめる多様な公園施設をイメージしている。競輪場だけでない施設を目指したい」と見通しを語った。ミッドナイトは安定した収益確保への第一歩。久留米競輪の挑戦から目が離せない。