青森競輪のGⅢ「開設71周年みちのく記念競輪 善知鳥杯争奪戦」は26日、最終12Rで決勝戦を行った。

 レースは阿部拓真(30=宮城)―坂本貴史(32=青森)の3番手から佐々木雄一(41=福島)が直線を突き抜けて優勝。これがうれしいGⅢ初制覇となった。2着はまくり迫った深谷知広(31=静岡)、3着は切り替えた東口善朋(42=和歌山)。 

 選手生活22年目にして待望のVだった。道中は若手両者にゆだね、坂本の2角番手まくりに乗ると、上田尭弥(23=熊本)をブロックして徹底ガード。だが、深谷が大外を迫っていたため「抜かれたと思った。半信半疑で」と優勝の実感はなかったという。

「ある程度、描いていた展開になった。あとはとにかく貴史が優勝できるところから踏んでくれればと思っていた」と淡々としたもので「帰り際にニヤってするのかな…」とクールに笑った。

 名だたるスターがそろう福島勢の中、縁の下の力持ち的な存在で、その場、その場の与えられた持ち場を堅実に守ってここまでやってきた。2010年には地元・いわき平オールスターでGⅠ決勝にも乗るなど実績は確か。

 経験豊富なベテランが今もS級上位の第一線にいられるのは一戦、一戦を大事に戦ってきたからだ。22年目の達成を「まあ…寄り道をしながら…でしたね」と控えめに表現した。

 この先の目標を聞かれても「下の子が20歳になるまでS級にいたい。来年、小学校なんであと14年ですか。1年、1年調子が変わるし毎年が勝負。目の前の戦いをやっていくだけです」と、最後までつつましかった。