
いわき平競輪のナイターGⅠ「第64回オールスター競輪」は最終日の15日、11Rで決勝戦が行われ、古性優作(30=大阪)が先行した脇本雄太(32=福井)マークから抜け出して優勝。V賞金4694万円(副賞含む)と「KEIRINグランプリ2021」(12月30日=静岡)の出場権を獲得した。古性は7回目のGⅠ決勝で初制覇。
「わけが分からなかった。どうなっているか分からなかった」
決勝は東京五輪自転車競技日本代表で輪界最速の男・脇本に前を任せての競走。「脇本さんを信頼していた」。誰もが憧れるゴールデンシートを離さないことだけに集中して臨んだ。
レースは脇本が鐘から果敢な先行策。迷いなく飛ばすジャパンのエースに4番手から同じく日本代表の新田祐大(35=福島)がまくりで迫ったが、その差は縮まらない。「新田さんが来ていたが(外に)張るかどうかを考えて、前に踏んだほうがしんどいだろう」と、夢中に前へ踏み込んだところがゴール線。「ナイターだったので照明の影で分からなかったが、ゴールして1コーナーぐらいで」勝利をようやく確信した。
7回目のGⅠ決勝でようやくつかんだタイトルだ。「家族とここまで来るのには近畿の後輩の力と先輩たちの力。僕にとっては村上義弘(47=京都)さん。あと、練習では郡山久二さん(引退)に支えていただいたので感謝したい」。
毎年、グランプリ出場への賞金レースでは最後の最後まで顔を出すが切符を逃していた。周囲の声とは違い、自身では「惜しいとかではなく、レベルの差を感じていた」と言う。その間、同級生の松浦悠士(30=広島)、郡司浩平(30=神奈川)がGⅠを制覇していく状況に「もうタイトルを取れないんじゃないか」と諦めかけた時期もあったと話すが「脇本さんがいない間に準備していたのが、こうした結果につながったのかな」。
脇本が〝本業〟の競輪に帰ってきた。終盤を迎えるGP戦線で近畿勢がかつての隆盛を取り戻すには脇本のパートナーが必要不可欠。「自分の走りを貫いてやってきた気持ちはある。今後もぶれずに自分のレースをしていきたい」。勲章を手にした浪速のニューリーダーが、ピリリと味のある走りでファンの心を魅了していくことを東北の夜空で誓った。
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