宇都宮競輪場で24~26日の日程でミッドナイト競輪「Kドリームス杯」(FⅡ)が開催される。古豪・一丸安貴(49=愛知)は、22日に大垣でラストランを迎えた同県の先輩・近藤幸徳(58=愛知)と深い絆があった。

「58歳ですか…、いけんな!」

 38年間を戦い抜いた先輩を見て、自身は58歳まで戦えるとは…と肩をすくめた。そのすごさは、誰よりも知っている。病魔や大ケガにも負けなかった。

「幸徳さんですからね。名物選手の引退は寂しいです。でもまだ昨日の今日で実感はないんです」

 引退レースはコロナ禍でもあり、観戦に行くことはできなかった。惜別の思いは〝電報〟に込めた。「自分がGⅠ、GⅡの決勝に乗った時、必ず幸徳さんが電報を打ってくれていたんです。だから、今回は自分が電報を打とう、と」。すると「今朝(23日)、幸徳さんから連絡が来ましたよ。律儀な人で…」と、お礼のあいさつがすぐにあったという。

 近藤は誰よりも朝早く名古屋競輪場に行き、鍵を開け、練習を開始していた。「いつも競輪場に行くと幸徳さんがいて、ローラーに乗ってました。自分が2番目の時も多くて。その幸徳さんがいなくなるのか…と思うと。競輪場に行って、自分が鍵を開ける時に寂しさを感じるのかな」と遠くを見た。

 近藤幸徳の人生は、人を愛し、競輪を愛するものだった。それは全く、すべてにおいて一丸安貴の生き様でもある。その魂を受け継ぎ、これからも一走入魂で戦っていく。初日の予選7R、一丸が思いを新たにバンクに入る。