【松戸競輪・ミッドナイト】選手生命の危機を乗り越えた松永晃典が、死の危険と闘う和泉田喜一を思う

2021年06月13日 13時04分

松永晃典の後ろでは和泉田喜一(後方左)が格清洋介と自転車談議

 松戸競輪場で開催されているミッドナイト競輪は13日、最終日を迎える。かつて華やかに、また泥くさく上位戦で戦ってきた46歳と53歳のベテランが、心を通わせている。松永晃典(46=静岡)と和泉田喜一(53=千葉)。

 松永は昨年7月から半年近い欠場。心房細動の手術を経て、復帰してきた。目指すS級復帰まではまだ遠い道のりだが「走って戻すしかない」と目の前の一戦に集中している。その松永は、最終日の4Rで和泉田と同じレースとなった。

 和泉田は一昨年8月久留米の落車で頚椎を脱臼骨折した。復帰などかなわぬものと思われた。再びまともに体が動くかどうか。危険すぎる場所だった。松永は「同じ開催に参加していたんですよ…。自分とは比べものにならないレベル。オレだったら復帰する勇気はないです」と話す。和泉田はもう落車はできない体でもある。

 そんな和泉田が今回また一緒に参加している。「部屋に行ってゆっくり話すとか、コロナがあるのでできない。でも指定練習を一緒にしているんです」(松永)。輝く過去と、涙も枯れた現在。汗をかくことでしか前進できない思いを共有している。自転車を並べ、ただペダルをこぐ。

 つらさを表に見せない和泉田は「松永はもうきっかけをつかんでいるみたい。先を行っているけど、オレも絶対頑張るから! まだ何にもきっかけはつかめてないけど」と笑顔を見せる。「復帰しただけじゃダメ。走るからには結果を出すことが大事」と、強く、強く訴えるのだ。

 4Rは静岡から千葉に移籍した吉竹雄城(31=千葉)と南関3車となった。和泉田が「今の状態を考えて、オレは南関3番手で。吉竹と松永は元同県だし」と話し、松永が番手となった。競輪に人生をささげる男たちの連係が、夜深い松戸で行われている。

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