【防府競輪S級・九州スポーツ杯】生死の渕を彷徨った大前寛則が復活「まだ僕は令和を知らないからね!」

2021年05月17日 17時50分

大前寛則は不屈の闘志で大ケガを克服してバンクに戻ってきた

 防府競輪(FⅠ)「九州スポーツ杯争奪戦」は18日に開幕する。ダービー組が顔をそろえるS級特選も注目だが、初日1Rに出走する大前寛則(54=岡山)の姿を、ぜひとも目に焼き付けてほしい。

 2019年4月20日、広島競輪場での出来事だった。最終2センターで前団が並走の形になった次の瞬間、前輪が壊れた大前は前のめりに落車。ただならぬ事態になろうことは容易に想像できたアクシデント、検車場に戦慄が走った。担架に乗せられ、鼻から血を噴き出しながらグッタリとして動かない…。頭がい骨骨折、くも膜下出血の診断。一命を取りとめたものの「2か月ぐらいは何も食べれなかった」状況で「お見舞いに来てくれた人の顔がみんな暗かったし、やさしくされて戸惑ったもん。こんなに大事にされたのは初めてかも」と笑い飛ばす。

 5か月にわたる入院生活を終えると「1年ぐらいは自転車に乗らずにリハビリに充てて鍛えながら」復帰への青写真を描いた。「レースできる状態にならなければ手帳を返そう(引退)と思った」が「藤田(昌宏)君とか佐伯(亮輔)とかが誘ってくれて僕のことを考えて練習してくれたし、肉体的にはケガをする前よりもいいかも。ブランクがあるし、レース勘がどうかというのはあるが、個人的には楽しみ」とまで言ってのける。

 あれから2年。自らの命を奪いかけた自転車へ再びまたがり〝戦場〟へ戻る。「まだ僕は令和を知らないからね!」2021年5月18日、歩みを止めていた競輪人生が、再び動き始める。

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