競輪選手に愛するものを語ってもらう「競輪愛・選手編」。今回は“巨人”の登場だ。愛知のガッツレーサー・林巨人(愛知・91期)は「きょじん」と書いて「なおと」と読む。身長は159センチと小柄だが巨人! そして巨人だが中日ファン! 小柄でも大きな心で立ち向かう精神力と、中日愛に注目だ。

 まず「なおと」と名づけられることは決まっていた。「一般的な“直人”だと字画が悪かったみたいです。それに大きくなってほしいという思いもあったようで」。父親の身長は一般サイズだが「オカンが140センチ台の前半」で期待を込められこの字が選ばれた。思いはかなわず身長は159センチで止まってしまったが「選手になって常に思っているのが、大きい人には負けたくないということです」と、胸を張った。誰にも負けない大きな強い気持ちが宿っている。

 小さいころは「名前通りに巨人ファンでした」と読売ジャイアンツを応援していた。だが「地元愛が芽生えてきて、中学生くらいには中日ファンになってました」。自身は小学生からずっと水泳で体を鍛え、野球は観戦一本。競輪は父親が大ファンでよく知っており、高校卒業と同時に選手を目指した。

 中日で好きな選手は「立浪(和義)ですね。立浪も背があまり高くなくて小柄で俊敏な動きをしていた。憧れでした」と通算二塁打の記録を持つ名選手が好きだった。「ずっと中日にいてくれて、よそで引退じゃなかったのが本当に良かった」。今年の中日は苦戦続き。「谷繁(元信)兼任監督は1年目なんでなかなか難しいと思う」。気にしているのは投手陣で「岩瀬(仁紀)も来年は厳しいと思うし、浅尾(拓也)も故障ばかり」と危惧する。その上で「来年、再来年と良くなっていくと思う」と信じている。

 珍しい名前だが「巨人という名前が大好き! すぐ覚えてもらえるし、本当にこの名前で良かった!」。“小さな巨人”とはもはや使い古された言葉かもしれないが、この男のためにある言葉だ。