川崎競輪場で開催されているナイター開催のS級シリーズ(FⅠ)の2日目(13日)のA級準決3Rで牛山貴広(40=茨城)が、遅ればせながらの通算200勝を達成した。リーチをかけていたことは本人は知らず、レース後、詰めかけた報道陣に「えっ、何ですか。記録?」と戸惑っていた。

 200勝達成と知ると「そうだったんですね。かかりましたね…」とつぶやいた。2006年トリノ五輪にスピードスケートで出場し、競輪に転向。2007年7月にデビューした。92期生で最初にS級に昇級を決め、長く上位で戦ってきたが、近年はケガに泣かされてきた。

 思い出の1着を聞かれると「記念の優勝とかは覚えているけど、でも9着の方が覚えてますね」。話の流れで出てきたのは初めてGⅠの決勝に乗った2013年の立川ダービーだった。師匠・武田豊樹(47=茨城)の前を務めた。

「北日本がザキさん(山崎芳仁)にチャンスをっていうのでしたね。2周半から北とやり合って、武田さんの後ろに村上(義弘)さんがいて優勝。村上さんが後ろにいなかったら、武田さんの優勝だったと思う…」

 来期のS級復帰は決まっているが、今期はまだ点数の確保は微妙な情勢だ。「今はS級に戻って、S1にまたなれるように、ですね。GⅠとかは言えない」。ケガや長い欠場に苦しんでいるが、「悔しい思いをしてきたからこそ、今がある」。折れない心を武器にして、必ずはい上がる。