防府市営の小倉ミッドナイト競輪「オッズパーク杯」(FⅡ)は3日、最終日を迎え、8Rでチャレンジ、9RでA級1、2班戦の各決勝戦が行われる。A級1、2班戦は四国の「絆」が上回るとみて久田裕也(21=徳島)に乗る今野大輔(27=愛媛)の抜け出しに期待したが、底力ある北川大五郎(29=大阪)の一撃は十分。その前にひと稼ぎといきたい8Rでは117期の中村翔平(27=福岡)をプッシュする。

 2日目(2日)の準決3R、正攻法の中村は赤板で上昇してきた先行職人・増成富夫(50=岡山)を突っ張り、そのまま逃げ態勢。サラ脚で回った佐藤健太(33=福岡)に抜かれはしたが、2着でゴール。3着、4着にも中村ラインを固めた船倉卓郎(36=長崎)―宮原英司(49=長崎)が続き、終わってみれば九州勢で上位を独占した。「抑え先行は選択肢にはなかった。(増成を)出させず完封しようと思っていた。末を欠いたが、内容は良かった」と100点満点に近い走りにヤングは納得顔だった。

 ご褒美はその後に待っていた。次の4Rが終わって決勝の7選手が決定。5人勝ち上がった九州勢は検車場で一堂に会して作戦会議。そこで、出した答えは一番若い緒方慎太朗(22=熊本)を先頭に中村―佐藤―船倉―宮原の順に並んでまとまることにしたのだ。7車立てのレース形態、決勝という舞台でこの並びが実現したのは、中村の準決での激走があったからに他ならない。「船倉さんからは『好きにしていい』と言われ、緒方君は『前で頑張りたい』と言ってくれたので、番手で頑張ることにしました」
 
 緒方も自身初Vだった2月佐世保の決勝で佐藤と宮原にライン固めをしてもらったため「恩返しがしたい」と先陣役を快諾し「九州勢から優勝者を出したい」とぶっ飛ばす覚悟ができているのも中村には喜ばしい限りだ。6月久留米のレインボーカップチャレンジファイナルに出場する長谷部龍一(24=岐阜)と、山田哲也(39=愛知)が組む中部は強敵だが「5対2」の構図なら、追い風は九州に吹いている? 仲間の思いを意気に感じて、優勝へ一番近い位置を回る中村が悲願達成に向けて、力の限りペダルを踏み込む。