武雄競輪開設71周年記念(GⅢ・大楠賞争奪戦)は25日、最終日を迎えた。中川誠一郎(41=熊本)は準決敗退ながら、最終日は圧巻の鐘前先行で別線を完封。マーク荒井崇博(43=佐賀)の1着に貢献し、自身も2着に粘り込んだ。5月4日から京王閣競輪場で行われる日本選手権競輪(GⅠ)で大暴れがありそうだ。

 3月別府決勝で打鐘から逃げて優勝をもぎとった中川。「結構、長い距離を踏みましたからね。きつかったですよ。でも、だんだん良くなって、ある程度上向いています」。2年前に別府で全日本選抜競輪(GⅠ)、岸和田で高松宮記念杯競輪(GⅠ)を制した時の力強さを取り戻しつつある。

 調子が上がってきた原因は今年デビューする119期の弟子の吉田悟(27=熊本)の存在が大きい。「弟子の面倒を見ないといけないので、毎日バンクに行かなきゃいけない。バンクに行ったら行ったで、ただ弟子の練習を見ているだけとはいかない。きついけど弟子と一緒にもがかなきゃいけないですからね」と自虐的に説明するが、練習量が増えたことは間違いない。

 松岡辰泰(24=熊本)が「いつバンクに行っても中川さんがいるという感じですね。武雄記念の前に中川さんにどうしたら、別府決勝みたいに上手に逃げることができるのですかと質問したら『うん、いつもより半周早く仕掛ければいい』という答えをもらって、その後の会話に困ったことがある」と、笑いながら証言していたが、頂点を極めたベテラン選手が、いまだにバンクで汗を流す姿を見せられ刺激にならないはずがない。武雄記念では熊本勢が準決に4人勝ち上がったが、中川効果が出ているようだ。

 武雄記念の最終日も地元の荒井崇博(43=佐賀)を連れて打鐘前先行を敢行と気を吐いた。本来のスピードに、持久力もアップした〝誠一郎〟が、輝きを取り戻しつつある。