和歌山競輪のS級シリーズ(FⅠ)が8日に2日目を開催し決勝メンバー7人が出そろった。4人が勝ち上がった近畿軍団の並びは寺崎浩平(27=福井)―稲垣裕之(43=京都)、稲毛健太(31=和歌山)―村上義弘(46=京都)と二手に分かれた。
 
「僕はどうあれ、前でやります」と寺崎が自力で戦うことはあらかじめ決定しており、あとは3人の動向が鍵だったが、京都コンビの話し合いにレース後の稲毛が加わり、並びが決まった。

「稲毛が自力でやりたいと言ったのがまず初めにあった。稲垣が寺崎にいけば(本来なら)その後ろなのだろうけど、稲毛を一人にはできない」と村上がいきさつを説明した。
 
 村上は努めて冷静に話を進めたが、わき立つ熱い思いをこらえきれず、言葉は次第に熱を帯びていく。「ホッとしています。寺崎もそうだけど(稲毛)健太は自分の走りに誇りを持っていて貫き通したいんだと思う。だから健太が即答して別線を選んだとき、すごい気迫を感じたし、熱くなるものがあった…」

 稲毛には寺崎の番手に付く選択肢もあったが「4人にチャンスがあるなら2対2が良かった。自分は自力でやりたいです」と迷いはなかった。

 稲垣も「村上さんと別線で戦うのは初めて。正直、思うところはあるけど勝負と思えば、そんなこと言っていられない。近畿から誰かが勝てるように力勝負したい」と決意を表明。最後に村上は「若い選手の気持ちをくんで俺らがどうするかってこと。いい戦いをします」と結んだ。

 熱い思いが交錯した検車場は近畿軍団のパワーに支配されていた。