別府競輪のモーニング7(FⅡ)は22日、開幕した。初日メインの7R特選は八谷誠賢(45=福岡)が鐘過ぎスパートで逃げ切り、幸先のいいスタートを切った。予選は117期の松本秀之介(20=熊本)、115期の村上竜馬(25=広島)は順当勝ちを収めたが、朝一番の盛り上がりを見せたのは御大・中沢孝之(55=大阪)の勝利だった。

 選手生活36年目。ビッグレースにも数多く出場した浪花の名マーカーが〝ココロを沸かせた〟。初日(22日)4R、前を任せた井坂泰誓(26=大阪)が赤板過ぎに先頭に立つと、そのまま先行態勢。終始、無風で回った中沢にはまたとない好展開。最後は「借り物競走みたい」(中沢)になったが、ゴール前での追い込みが届き、2019年12月松阪以来の勝利を果たした。井坂が「前々回(3月武雄準決)、自分だけのレース(井坂1着、中沢6着)になって、お世話になってきた先輩に申し訳なかった。何が何でもワンツーしたかった」と話せば、中沢は「井坂君が頑張ってくれた。武雄からチクチク言っていたので(笑い)」と、冗談交じりに後輩へ感謝の意を伝えた。
 
 大ケガを克服しての勝利だった。昨年3月26日、練習中の落車で骨盤を骨折する大ケガを追った。コロナ禍で不自由な暮らしを強いられる中でのアクシデント。年齢も考えると「引退」の2文字も頭をよぎったが、その場にいた仲間に負い目を感じさせたくない一心から「もう一度、復帰しよう」とリハビリに取り組み、同年10月にカムバック。今大会は復帰9場所目。事故からちょうど1年がたっていた。

 数年前に愛妻と撮った写真を見比べると「老けた」と笑う。「ケガを直そうとするから、こっち(顔)は年を取るんでしょうね」。夜中にトイレに行く回数も増え、白い毛も目立つようになったらしいが、「中年の星」はまだまだ輝き続ける。