立川競輪S級シリーズ(FⅠ)が22日、開幕する。特選には前回の大宮で通算500勝を達成した稲垣裕之(43=京都)が登場。節目到達の思いを改めて語った。

 500勝は通算37人目(昭和58年以降)。デビュー19年7か月、京都では村上義弘(46=京都)に続き2人目の大台到達に「すごい記録で光栄なこと。いろんな経験をして、多くの人に支えられた」と改めて喜びをかみしめた。決勝ではなく、敗者戦で節目に到達したことには「これも自分らしくていいのかな」と笑った。

 2011年には落車で骨盤を骨折し、選手生命が危ぶまれたこともあった。「あのケガでもう一度、自分と向き合える時間をつくれたのは今となっては大きかった。もっと強くなって、タイトルを取りたいという思いも強くなった」。5年後、悲願のGⅠ(16年寛仁親王牌)制覇で涙を流したシーンは記憶に新しい。

 主に近畿の仲間たちとの連係で積み上げた勝利はどれも思い出深いものばかり。「もちろんタイトルを取った1勝も印象深いけど、正直1つと言われると出てこないですね。前の頑張りもあれば、後ろが落車して取れた1着もある。どのランクとかも関係ないです」。常に仲間との絆、ラインがあってこそ。稲垣の競輪人生を象徴するその思いは、今後も変わることはない。

 交通事故(左足骨折)による長期欠場から復帰して3場所目。「レース勘もだいぶ思い出してきたし、今はどんどん走って調子を戻していきたいから」と、特選は迷いなく川村晃司(44=京都)を制して近畿の前回りを宣言した。「どのレースでも1着を目指すのはもちろんだけど、どの場所を回ってもしっかり自分の役割を果たせる選手でありたいと思います」。前を回る以上、中途半端な走りは生きざま、プライドが許さない。攻撃的な仕掛けで、まだまだやれることをアピールする。