京王閣競輪場で開催されているS級シリーズ「東京スポーツ杯」は13日、最終日を行う。S級決勝11Rに勝ち上がった飯野祐太(36=福島)がしみじみと準決のレースを振り返った。

 2日目(12日)のS級準決10Rでは、真杉匠(22=栃木)と伊藤稔真(24=三重)というひと回りも年齢違う若手が相手だった。その若手2人が残り2周、赤板から壮絶に叩き合った。

「いいものを見せてもらいましたね。気持ちはよくわかりますから」

 ラインの先頭で戦い尽くしてきただけに、彼らの思いはひしひしと伝わってきた。残り1周では「自分も苦しかったけど、あのタイミングしかない」と踏み込んで、大森慶一(39=北海道)とワンツー(飯野2着)で決勝に勝ち上がった。

 レース前に「真杉君がうまいレースをしたらどうしようと思っていた。半信半疑でしたね。伊藤君は必ず行くと思ったけど」と、点数的に格上に当たる真杉の走りを気にしていたが、真杉のすがすがしさは飯野の分厚い胸を打った。

 S級決勝11Rは北日本4車の先頭を務める。真杉も決勝に勝ち上がっており、燃えるものがある。「304回目、かな。先頭で行くのは」。北日本から優勝者を、の合言葉が頼もし過ぎる。