【京王閣競輪S級シリーズ・東京スポーツ杯】双葉町出身の渡辺一成 震災から10年で思い新たに

2021年03月10日 18時21分

福島県双葉町出身の渡辺一成
福島県双葉町出身の渡辺一成

 京王閣競輪S級シリーズ「東京スポーツ杯」(FⅠ)が11日、開幕する。東日本大震災からちょうど10年。震災で故郷を奪われた渡辺一成(37=福島)が現在、そして今後への思いを語った。

 東日本大震災から10年が過ぎた。震災当日、世界戦に向けた合宿で都内に滞在していた渡辺が、この10年で地元の福島県双葉町に足を運んだのはたった1度だけだという。

「震災から8、9年たって初めて帰りました。もう家もなくなっていて。自分では平常心のつもりだったけど、その後は焦燥感に襲われて、また頑張ろうという気にはならなかった…」 

 福島第一原発の事故により、いまだに双葉町は大半が帰宅困難区域や居住制限区域に指定されている。復興はおろか復旧にも程遠い状態だ。

 だからこそ、渡辺は改めて「これを風化させてはいけない」と話す。

「オリンピックが開催されるかどうかは分からないけど、どういう形であれ(日本の)いいところだけを見てもらうんじゃなく、こういう部分も発信していかないといけない。あれを見なかったこと、なかったことにしてはいけないんです」

 日本の主力として世界を転戦していた渡辺が当時、世界各国から受けた支援や激励は決して忘れることはない。ナショナルチームを退き、東京五輪と直接関わる立場ではなくなったとはいえ「世界中の人に感謝の気持ちを持って恩返しをしないといけない」という思いには寸分のブレもない。今はその思いを、一走一走に込めて伝えていく。

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