
いわき平競輪S級シリーズ(FⅠ)が5日、開幕する。11日、東日本大震災から10年という日を前に、地元の成田和也(42)が今の思いを語った。
「いろんなことがありましたね。いろんな、大変なことが…」
2011年の3月11日は今も鮮明に体の中に残っている。競輪選手としては、震災後の練習環境の確保も必須であり「あちこちに行って、結局、新潟には3年くらいいましたかね」と転々とした後、しばらくは新潟に落ち着いて、できるだけの練習を積んだ。
戦い盛りの32歳は同年5月に「SSシリーズ風光る」、12年2月に日本選手権(ダービー)、13年6月高松宮記念杯とGⅠ制覇。震災に負けない、という思いで戦い続けた。
そんな成田も42歳になった。「今思えば、まだ10年なのか、もう10年なのか」――。顔ににじむしわも増えた。それでも「そのレースでやれること、それを頑張ることは変わっていませんね」と胸を張る。決して弱気になったり、苦しいからと卑屈になったりすることもなかった。
初日(5日)の特選12Rも「坂井(洋)君の番手ジカで勝負します」と、即答だった。このレースで一緒の北日本は3人で佐々木雄一(41=福島)、阿部力也(32=宮城)はそれぞれ単騎になった。
佐々木は「成田さんの後ろを固めます、って言ったんですけど『つかなくていい』と…。気を使ってくれて」。成田としては、競りの後ろで不利になる位置を回るのではなく、よりチャンスある位置をと促したのだ。11日を目前にした今シリーズ。成田や北日本の選手は、それぞれの思いを背負って走る。
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