日本競輪選手養成所の119回生として競輪選手となる訓練を受けている“トータルサイクリスト”新村穣の第7回コラムは、新型コロナウイルスの影響で冬季帰省もなくなった状況、また厳しい冬をどう過ごしたのかが詳しく描かれている。

 東スポWeb読者のみなさま、こんにちは! 日本競輪選手養成所(以下、養成所)、第119回選手候補生の新村穣です。

 2021年になり、首都圏などで緊急事態宣言が再発出と、新型コロナウイルスは依然として猛威を振るい続けています。先のことを想像することすら難しい時代になってしまいました。

 それでも今年は私たち119回生、120回生が競輪選手として歩みを始める最初の年となります。たとえ微力でも社会に役立てることを考えながら、レースを心待ちにしてくださっている方々に、見て楽しんでもらえるような精一杯の走りを、この養成所にいるうちから続けていきたいと思います。

 本来なら年末年始に冬季帰省が予定されていたのですが、昨今の状況によって夏に続いて中止となり、ついに一度も外出をしないまま、養成所の中で年越しをすることになりました。3月に卒業日が短縮されたことによって、訓練自体は正月三が日以外は通常通りに行われたのですが、先生方を中心に企画してくださったオリエンテーションや、リモート帰省として日中の携帯電話の利用が数日にわたって認められ、師匠やお世話になった方へ連絡を取ることができました。私自身、年末年始は今まで遠征や合宿で家で過ごした記憶がしばらくなかったので、養成所にいながらも、とても久しぶりのお正月を感じました。

 今まで都会で生まれ育った私には、伊豆半島の山中にある養成所で過ごす冬は例年以上に寒く、冷え込みや吹きつける風が厳しく感じられます。学生時代の朝練習も寒かった記憶がありますが、池の水や競走路が毎朝のように凍る現象を目の当たりにしていると、生半可な気持ちでは早朝の練習に出かけられない気候なのだと思ってしまいます。

 寒さを憂えている間もなく、1月には第3回記録会や学科試験、2月に入ると選手資格検定、第2回トーナメント競走を経て、卒業記念レースまで、一つひとつが競輪選手となるために大切な行事が続けて行われます。

 特に第3回記録会では、前回の記録会で逃してしまったゴールデンキャップを何としても獲得できるよう、日頃以上に攻めの走りで全種目で自己記録と闘います。以降の競走や日々の訓練では、相変わらずですが、自分自身にだけでなく、寒さや強風などの天候や、真剣に競ってくれる仲間にも負けないように取り組みたいです。

 ☆しんむら・みのり 1993年10月16日生まれ、27歳、神奈川県出身。177.7センチ、73キロ。法大卒。トラック中距離、ロードだけでなく様々なレベルで活躍するため“トータルサイクリスト”と呼ばれている。