【トータルサイクリスト新村穣の養成所リポート(6)】選手として生きていくには「合格」だけじゃ足りません

2020年12月22日 16時00分

新村は養成所の生活の中で深く自分自身を見つめ直している(写真提供=日本競輪選手養成所)

 日本競輪選手養成所の119回生として競輪選手となる訓練を受けている“トータルサイクリスト”新村穣の第6回コラムは、参加実習という実戦での流れを学ぶ行事について解説。また3月の卒業が近づいてきた今の心境が吐露されている。

 東スポWeb読者のみなさま、こんにちは! 日本競輪選手養成所(以下、養成所)、第119回選手候補生の新村穣です。

 様々な出来事があった2020年も、いよいよ残りわずかとなりました。今年は夏季帰省に続いて年末年始の帰省も中止となり、自宅に帰ることがないまま、約10か月の養成期間を行うという極めてまれな経験をする回生となりました。

 そんな中、カリキュラムの一つとして、今月1日には伊東温泉競輪場をお借りしての参加実習が行われました。参加実習とは、競輪開催参加時の業務や手順を覚える目的があります。到着時の検温から始まり、身体検査、自転車の検車を含めた確定検査を検車委員や選手管理委員の方にご指導いただきながら、実際の運用の仕方を学ぶことができました。

 午後には、参加式や選手宿舎などの施設見学と、競走路での指定練習も行うことができました。初めての構外に出る行事ということも相まって、今までとは違う立場で訪れた競輪場では、新しい発見があるとともにとてもいい気分を得られました。

 冒頭でも触れた帰省の中止に伴って私たちのカリキュラムにも変更があり、3月1日に卒業式を行うように期間が例年よりも短縮されることが決まりました。なので、これから新年を迎えても息つく間もなく、競輪選手となるための各種検定試験や行事が多く予定されています。行事を終えるたびに、入所時には遠く感じていた卒業の日も一日ずつ確実に近づいていることを実感しています。

 競輪選手になるだけなら、試験に合格し、資格を認められれば良いのですが、競輪選手として生きていくためには、資格のみでは足りないと養成所の生活の中で私の考えも変わってきました。公営競技選手としてお客様に信用されることや、以前のコラムでも触れた、同県や同地区の先輩や仲間に信頼されて仕事を任せてもらえるようになること、そして、自分自身が生活を成り立たせるために、人生をかけて走り続ける気持ちを持ち続けることが、目に見える脚力以上に必要なのだと感じてきました。

 月並みな言葉ですが、競輪選手として必要な資格や脚力と、走り続ける強い気持ちや覚悟のいずれも、まだまだ自分には十分に足りていません。選手候補生でいられる残り少ない期間の中で、身につけていきます。

 ここまで駆け足で進んできた2020年でしたが、同期と集まって過ごせる最初で最後の年となります。みなさまにとってもすてきな年末年始をお迎えください。

 ☆しんむら・みのり 1993年10月16日生まれ、27歳、神奈川県出身。177.7センチ、73キロ。法大卒。トラック中距離、ロードだけでなく様々なレベルで活躍するため“トータルサイクリスト”と呼ばれている。

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