群馬県の前橋競輪場で開催された「第29回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」(GⅠ)は18日、最終日を行った。決勝は先行日本一の脇本雄太(31=福井)が好機の仕掛けで主導権取りに成功。世界を震撼させるスピードをこれでもかと見せつけて押し切り、優勝賞金2940万円を手にした。GⅠ優勝は6月高松宮記念杯以来5回目。新田祐大(34=福島)は2着でグランドスラム達成は持ち越しになった。

 脇本は東口善朋を連れて残り2周からスパート。新田が3番手で追い、松浦が4番手に入るが、脇本がそのまま力強く逃げ切って圧勝した。

 今節は誰もが脇本への畏怖を示すシリーズとなった。タイムが恭順を強いる武器。決勝の残り1周は前半が8秒8、後半は9秒4とまさに破格の数字だった。脇本は恐るべき数字を「前半と後半の差を0秒4以内にしたいと思っているんです。それができていないのは不満」と冷静に解説した。様々な面で進化を続けることには成功しているが、まだ埋められていない部分があるという。

 2020東京五輪が延期になった時は「落ち込んだ」のが事実。しかし、そこからの時間を「成長につなげる気持ちを持って過ごすことができている」と胸を張る。年齢的にはもう若いとは言えない。その中で自らを鼓舞し、強さを増している。

 今年、残るレースはGⅠ競輪祭とグランプリ。「自分もグランドスラムは意識しているし、GPを勝つことが昨年負けてからの目標」。世界を制する道を歩み、ワッキーは今や人類の誇りだ。