ショウエイ、笑顔なきGⅡ初制覇――。伊東競輪のGⅡ「第36回共同通信社杯」は21日、最終日を行った。決勝は九州結束から山田英明が1着入線も押し上げで失格。中本匠栄(ショウエイ)が繰り上がりで1着となり優勝賞金(2170万円)を手にした。2着は松浦悠士、3着は園田匠という結果だった。新田祐大は4着、脇本雄太は7着に終わった。

 グランプリ初出場を狙う山田英明にとっての今大会の意味を知るだけに、繰り上がり優勝に表情はこわばったままだった。「うれしさより、ヒデさんの失格の方が…」。持ち前の柔らかな笑顔はなく、小さくなっていたが、この優勝の意味は小さくはない。

 2017年9月、当所で落車し「動かしたらいけない状態」でバンクに伏した。頚椎骨折で、選手生命の危機、日常生活もどうかというケガだった。だが、強靭な肉体と精神力、そして「色んなアドバイスをくれた周りの人たちのおかげ」で立ち直った。今節4日間、青空に浮かび上がる火の鳥、不倒の活躍は多くの人々の心を打った。

「今回は九州の先輩、後輩のおかげでここに立つことができました。まだGⅡを勝ったという実感はないけど、これから期待される以上、確定板に乗れるよう、勝てるよう頑張っていきたいし、任されたら役目を果たしたい」

 2016年熊本大地震で傷ついたままの熊本競輪場の早期再開を願い、そこで走れる時を強く欲している。決して屈さない思いは肥後の地、また九州、全国に勇気を与えたことだろう。