日本競輪選手養成所の119回生として競輪選手となる訓練を受けている“トータルサイクリスト”新村穣の第2回コラムは、養成所の日々の暮らし、その実情についてのリポートだ。

 東スポ、中京スポ、大スポ、九スポ読者のみなさま、こんにちは! 日本競輪選手養成所(以下、養成所)、第119回選手候補生の新村穣です。梅雨も明けて8月に入り、例年を上回る気温とともに養成所にも暑い夏がやってきました。

 本来であれば2020東京五輪が開幕し、養成所の隣にある伊豆ベロドロームに予選を勝ち抜いてきた世界中のサイクリストが集い、最高峰のスポーツの祭典が行われる予定でした。五輪の延期と時期を同じくして、選手候補生の誰もが楽しみにしていた行事の一つ「夏季帰省」も史上初めての中止となりました。今までの候補生には経験のない特別な夏が伊豆には訪れています。

 コラム第2回となる今回は、私たち選手候補生が養成所で何をして過ごしているのか、一日の流れの一部を紹介していきたいと思います。養成所では、実際の競走での発走時間などを守ることができるよう、起床から消灯までの一日のスケジュールと時間があらかじめ決まっています。読者のみなさまの中には、養成所のインスタグラムの写真を見て、訓練の姿はご存じかもしれませんね。

 日中は講義を受ける「学科」と、自転車やジムトレーニングなどを行う「実科」の2種類の訓練を行っています。基本的には男女で同じ訓練になることはありません。食事や日夕の点呼以外の時は宿舎内でも生活を行う階が異なるので、まるで男子校と女子校のように別々の生活を送っているのも特徴的です。

 競輪学校から養成所になり大きな変化があったのは、私たちの見た目ではないでしょうか。服装については、以前までの物から男子は青、女子はピンクを主としたユニホームへと変わりました。頭髪についても、男子は必ず丸刈りでなければならなかった規則が、清潔感のある髪形であればある程度の短髪、女子では髪を伸ばしてまとめることが認められています。

 訓練以外の時間では、限られていますが、自主トレーニングに出かけて練習を行う者や、宿舎に戻り、4人一組ごとに割り当てられている居室の中で過ごす者など、それぞれが思い思いの選択をしています。日曜日などの休日には自由時間も多いので、日々の疲労から睡眠を取ったり、訓練で使用した自転車の整備をしたりと、時間の使い方にも性格が表れる気がします。

 昨年からDVDプレーヤーや一部のゲーム機の持参も認められていますが、私は同じ部屋の候補生と一緒にテレビを見たり、練習仲間やお世話になった競輪選手の方々の活躍を見たりして、厳しい訓練へのモチベーションにつなげています。

☆しんむら・みのり 1993年10月16日生まれ、26歳、神奈川県出身。177.7センチ、73キロ。法大卒。トラック中距離、ロードだけでなく様々なレベルで活躍するため“トータルサイクリスト”と呼ばれている。