今年デビューの117期生トップバッターは町田太我(広島・117期)だ。隆盛を極める中国地区に現れた若き大砲にスポットを当てる。

 競輪選手への道は、必然だったのかもしれない。「幼い時に、父に競輪場に連れてきてもらったんです。迫力がすごくて魅了され、心に残るものがあった」。その後「深谷さんがデビュー戦で後ろをちぎって勝ったのをネットで見てて、父から『お前も将来、こうなれよ』と言われて(笑い)」。高校から自転車競技を始めると、インターハイ2位などメキメキと頭角を現した。「本当は大学に行こうと思ってたんですが、高校の時からお世話になっていた吉本哲郎さんに、選手になった方がいいと誘ってもらった」ことも転機となり、高校卒業後に入所試験を受けて一発合格。後に師匠となる吉本の「太我のお父さんのところまで『僕が面倒を見るので、選手にさせてください!』ってお願いに行った」“ラブコール”が実を結んだ格好だ。早期卒業こそならなかったものの、養成所時代には3回の記録会すべてでゴールデンキャップを獲得する史上初の快挙を達成するなど、潜在能力の高さをまざまざと見せつけた。

 5月に地元・広島で行われた「競輪ルーキーシリーズ2020」では在校1位の長田龍拳(静岡)ら並み居る同期のライバルを撃破して完全Vを達成。吉本も「ああ見えて、太我は昔から緊張するタイプ。でも、ルーキーシリーズで結果を残せたことで自信を持って走れるんじゃないかな」と太鼓判を押す。

 これからは早期卒業組の寺崎浩平(福井)、菊池岳仁(長野)の背中を追うことになるが「18連勝してS級に特進したいけどまずはチャレンジを卒業して仲のいい菊池君に早く追いついて、どのぐらい脚の差があるのか感じたい」と意気込む。

 卒業後は、広島バンクで研さんを積んでいる。「松浦(悠士)さんとも一緒に練習をやらせてもらっているし、レースのこともいろいろ教えてくれるので身になっている」とSS班の薫陶も受けており「今は中国地区が盛り上がっているんで、その流れに乗っていければ。早く上に上がって前で引っ張りたい」。松浦、清水裕友が双璧をなす中国地区の牙城を揺るぎないものにするためにも、一日でも早くS級のステージに駆け上がりたい。

 ――オフの日は

 町田 家でゴロゴロしてますね。僕、映画が好きなんですけど、今は映画館にも行けないし、ネット配信で昔の作品を見てます。

 ――自粛期間の過ごし方は

 町田 家にいてもヒマなんで、練習ばっかりです(笑い)。でも、これからはいろいろできるようになると思うので、遊びも練習も臨機応変にできるようにならないとですね!

☆まちだ・たいが=2000年7月8日生まれ。広島県出身。2018インターハイ3キロIP2位、同年国体1キロTT2位。師匠は吉本哲郎(広島・84期)。チャレンジ戦