元甲子園球児の古賀勝大(28=和歌山・115期)はデビューの時点で28歳とやや遅咲きだが、自転車との出会いから約10か月で競輪学校(現・日本競輪選手養成所)に合格したポテンシャルは未知の魅力を持っている。脱サラから勝負の世界へ飛び込み、競輪ドリームをつかむべく今は徹底先行で鳴らしている。

 選手を志す前はサラリーマン。「地元ではCMもやっている会社で普通に生きる分には問題なかった」と多くの人間ならその環境で人生を全うしそうな場面からやりがいを求めて転身を決断した。「当時は和歌山国体の軟式野球に選ばれたけど、1回戦で負けてしまって『やりきったな~』という感じだったんです」。そんな時に地元のお祭りの競輪ブースでワットバイク(トレーニング用のインドアバイク)を体験したのがターニングポイントになった。

 古賀の才能を見抜いた日本競輪選手会和歌山支部の池田智毅支部長(68期)から誘いを受け「池田さんに『夢はあるか? 俺はあるぞ』と言われたんです。40歳を過ぎてもそう言えるのはカッコイイと感じましたね」。目指すなら中途半端にはなれないと会社を辞め「池田さんの『俺についてきたら合格させてやる』という言葉を信じて」10か月の鍛錬に励み、競輪学校に一発合格した。

 福知山成美高時代には甲子園メンバーにも名を連ねたが、自身は素質について「高校の時は裏方の方が多かったし野球をやっているときも体力はなかった。社会人の軟式野球の時も1、2番で打球を転がして走りまくっていて。そういえば競輪でも地脚よりダッシュタイプですね(笑い)」。ただ、今は先々を見据えて前受けからの突っ張りも見せるなど徹底先行で底力アップを図っている。

 目先の目標は一番弟子に取ってくれた師匠・中野彰人(93期)とワンツーを決めることだが「来期は師匠もA級になってしまうんですがそこではなくS級で、ですね」と、あくまで最上位クラスで恩を返すことを誓う。さらに先の競輪ドリームまでつかむべく「体は小さいけどスケールは大きく」突き進む。

 ――賞金は何に使っている

 古賀 自転車のものばかりですね。稲毛健太さん(97期)と話して同じようなものを買ってるんですが、S級とチャレンジで同じものを買うと、僕の通帳にはお金がたまらないです(笑い)。

 ――今後、賞金が増えたら

 古賀 アメ車が好きなので買いたいけど…。一つの夢ですね。

 ――好きなタイプは

 古賀 かわいいよりキレイな人。昔、ケツメイシの「さくら」のPVに出ていた鈴木えみさんが好きです。

 ――自身の“競輪IQ”はいくつ

 古賀 今は20で、伸びシロに期待です。同期の佐藤礼文(茨城)はどこどこ選手が何点持ってるとか知っているし、競輪IQは400あると思います!

 ――趣味は

 古賀 特にないですね。音楽とかは聴かないし、機械もうとくてゲームも苦手。ずっとテレビを見てます。

☆こが・かつひろ=1991年6月3日生まれ、和歌山県所属の115期生。2019年7月、和歌山競輪場でデビュー。163.1センチ、66.2キロ。一番苦手なものは納豆。