2005年のKEIRINグランプリ王者・加藤慎平(40=岐阜)が6日、現役引退を表明。20年間の選手生活にピリオドを打った。中部を代表する競輪選手の引退に親交の深かったアイドルグループ「SKE48」のメンバーからも感謝の言葉とエールが送られた。

「引退します。5月で40歳になり、8月で現役20周年という節目の年ということもあって今年の初めには決めていました」。勝負の世界に生きてきた男がバンクに別れを告げることを決断した。

 落車などで骨折したのは実に14回。腰痛に悩まされるなど、ここ数年は故障との戦いでもあった。それでも「故障は関係ないです。自分くらいの年齢になれば誰でも痛いところはあるので」と決して弱音は吐かなかった。

 05年12月には全日本選抜競輪とKEIRINグランプリで優勝。年間賞金王に輝いたことに加えて月間賞金獲得額1億3000万円という不滅の大記録も打ち立てた。だが20年間の現役生活で最も印象に残っているレースは優勝した05年ではなく、6着に終わった09年のグランプリだという。「弟分の永井清史(岐阜)と切磋琢磨しながら、競輪界の頂点であるKEIRINグランプリに一緒に出場。ラインを組んで走ったときには“夢がかなったな”という達成感を感じました」。地元・岐阜の絆を何よりも大切にしてきた。

 加藤はアイドルグループ「SKE48」の大ファンとしても知られ、アスリートとしてメンバーに体調管理についてのアドバイスを送ったこともあった。加藤の推しメンである松村香織(28)は「慎平さんはSKEのTシャツを着て競輪番組に出演してくれたりして本当にありがたかったです。ケガでたいへんそうだったのは見ていましたが、あきらめずに頑張ってたのはやはりすごい。引退した後はがっつりヲタ活をしてください」と感謝。

 またSKEのエース・松井珠理奈(21)も「加藤さんがケガをしても立ち上がって頑張る姿にパワーをいただいていた方もたくさんいたと思います。引退を決意することも簡単なことじゃないと思う。本当にお疲れさまでした。これからも頑張ってください」とエールを送った。

 引退後については未定。「競輪界に何らかの形で恩返しをしていきたい」という。

☆かとう・しんぺい 1978年5月18日生まれ。岐阜県出身。日本競輪学校81期生。98年8月に名古屋競輪場でデビュー。2005年には全日本選抜、KEIRINグランプリを制覇し賞金王に輝いた。通算成績1326戦339勝。通算獲得賞金7億8301万311円。