【ガールズ10周年特別コラム(1)歩み編】2012年7月1日に平塚競輪場で始まったガールズケイリン。10周年を迎える喜びは、選手やファン、関係者に満ちるところだ。全5回のコラムでガールズケイリンの10年にスポットライトを当てる。

 この10年の歴史は平坦ではなく、特にガールズ1期生(102期)の苦労は計り知れないものがあった。

「みんなすごい根性ありましたよね」

 笑って振り返るのは田口梓乃(旧姓・三輪)だ。みな意を決して挑戦はしたものの「3年でなくなっても文句はなし」と言われるほど、先は見えていなかった。1期生としてデビューする33人は、そんな不安とも戦っていた。

 開催場も最初は平塚、京王閣、松戸の3場のみ。あっせんは2か月に3本程度と、収入面でも楽ではなかった。

 落車が発生するたびに「やめた方がいいんじゃないか」、単調なレースに「競輪じゃない」の声もあった。が、各選手がレベルアップすることで、誰しもがガールズケイリンを認め、愛するようになった。

 田口は2人の子を出産し、復帰して活躍している。「私の時は妊娠、出産の制度もなかったけど、そういうのもできて…」。1期生の流した汗と涙に、光が差し始めた。