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【千葉競輪存廃問題】今後の競輪界の動向を占う指標


中村浩士(左)と渡辺社長

 千葉競輪存廃問題の実情は? 2017年度末をもって廃止の方向と発表された千葉競輪だが、存続する意義があると立ち上がる人は多い。日本写真判定株式会社の渡辺俊太郎社長は、競輪場のあり方そのものを深慮しつつ、伝統ある千葉競輪の存続に総身をなげうっている。千葉をホームバンクにして活躍している中村浩士は「絶対に存続!」と声を大にする。競輪開催とともに、20年に行われる東京五輪や、将来自転車競技を志す子供たちのためにも、存続の必要性を訴える。

 現時点で千葉競輪は黒字だ。だが千葉競輪を施行している千葉市は、18年度から単年度での赤字が継続する見込みであり、施設の老朽化に伴う大規模修繕費がかかることを理由に今年1月23日、17年度末をもって競輪事業を廃止する方向で調整すると発表した。

 現在、千葉競輪は日本写真判定(以下、日写)と包括委託契約を結んでいる。期間は13年4月から16年3月まで。千葉市は16年4月から18年3月までの2年間を猶予期間としているため、4月からの3年間がカギを握る。渡辺社長は「まだ“廃止の検討”をすることを決定した、という段階。存続するつもりでやっていく。もともとこの3年で終わるつもりでやってきていない」と、猶予期間の2年間も契約していく考えだ。

 競輪選手の中村は千葉を代表するトップレーサーとして活躍しつつ、一般社団法人日本競輪選手会千葉支部の副支部長を務めている。「ホームバンクがなくなるということがあれば本当に悲しい。少しでも望みがあるならば全力で動き、できることがあればやり続けたい。絶対に存続を」と、“千葉競輪場存続の会”の代表を兼務する篠田宗克支部長とともに、署名活動などに奔走している。

 千葉市は18年度から赤字になるという試算を出しているが、市の直営から13年度に日写に運営委託してからは経営状況は改善されている。渡辺社長は「11年度から委託を受けている富山競輪の経験を生かせている。千葉は2年目で富山の5年目くらいの成果を出せている」と胸を張る。13年度は市議会の答弁によれば2億100万円の黒字になっているのだ。千葉と同年に委託を開始した松阪競輪(三重県松阪市)も一時は存続が危ぶまれていたが、日写への民間委託によって収支が改善したため、すでに24年度まで長期に契約を延長している。日写の運営実績はすでに揺るがない。

 千葉競輪場はただのギャンブル場として存在するのではない。20年の東京五輪開催が決定したこともあり、非常に貴重な施設になっている。中村は「千葉は周長500メートルの大きなバンク。カント(傾斜)も浅いので、小さいバンクより危険が少ない。パラリンピックの競技や練習場として活用することは、とてもメリットがある。また子供たちが自転車に習熟するのにも最適」と話す。渡辺社長も「首都圏で民間委託されている競輪場は千葉だけ。民間委託されていないと容易に開放することはできない」と千葉競輪場だからこその必要性を主張する。

 東京五輪を支える大事な施設であることはもはや明瞭だ。「千葉からはトラック競技日本代表の石井貴子(106期)や、パラサイクリングタンデム走者の田中まい(104期)というガールズケイリン選手2人が東京五輪を目指せる存在。東京五輪に関わるという面でも重要です」(中村)。12年ロンドン五輪代表で10年アジア大会のトライアスロン金メダル獲得の細田雄一(博慈会)も千葉競輪場で練習しており、2月には署名活動に参加し存続を訴えた。廃止は、東京五輪を目指すアスリートたちの練習の場が奪われる危険にもつながるのだ。

 千葉には特別競輪をすべて制した“怪物”滝沢正光氏(現日本競輪学校校長)を筆頭に名選手を多く生んだ歴史もある。中村は「競輪選手になりたいという夢を持つ子供たちもいる。その夢を奪ってはいけない。高校の自転車部も、千葉競輪場で練習しています。ニュールーキーが現れない千葉になって残念なことにならないよう、立ち上がらないといけない」と廃止阻止の使命を語る。13年のインターハイでは、千葉競輪場で練習している千葉経済大学附属高校の自転車競技部がケイリン、スプリントを制し、総合優勝も手にしている。

「競輪選手はギャンブルの駒ではなくアスリート。従事員さんは発券機ではなくサービススタッフ。競輪場はギャンブル場ではなく、市民のためのスポーツ施設と理解している。それを徹底させ、競輪場や競輪選手のブランディング(価値の構築)ができれば、認知も上がり、売り上げも増える」(渡辺社長)

 千葉競輪の存廃問題は、今後の競輪界の動向を占う指標になってくる。競輪、そして競輪場の存在意義が問われている。

※日本写真判定=日本写真判定の歴史は俊太郎社長の祖父・俊平氏が1940年に開催されるはずだった東京五輪の競技写真判定の研究を、39年から始めたことに端を発する。49年にはスポーツ写真判定協会を発足し、同年、川崎競輪場で高速度カメラによる写真判定業務を開始した。50年に写真判定用スリットカメラを発明し「ホトフイニカメラ」と命名される。51年、日本ホトフイニ株式会社に改組、57年に日本写真判定株式会社となり、今日まで公営競技や各種スポーツ競技大会の写真判定業務に携わる。2010年から富山競輪、13年から千葉競輪、松阪競輪のトータルマネジメント業務を行っている。

☆わたなべ・しゅんたろう=1967年2月12日、千葉県生まれ。弁護士。2007年、日本写真判定㈱代表取締役社長就任。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科トップスポーツマネジメントコース卒業、卒業論文「競輪場が果たすべき役割についての研究」。

☆なかむら・ひろし=1978年1月15日、千葉県生まれ。175センチ、79キロ。S級1班。脚質・追い込み。GIII優勝3回(協賛記念1回含む)。選手会千葉支部の副支部長を務める。千葉競輪場を拠点とする“中村道場”の総帥で、熱い情熱で人を動かす力がある。

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