【SGグランプリ(住之江)&GIクイーンズクライマックス(大村)カウントダウンコラム(11):注目レーサー(9)】

【GP3位=桐生順平(31=埼玉・100期)】昨年のグランプリで初めて優勝戦まで駒を進めた。結果は5着。

「レースは覚えています。1Mは自分の技量不足でした。だから、今年は去年より上を目指そうとやってきました」

 GP優勝戦といえばボート界では最高峰のレースだ。その最高の舞台を経験したことで新たな課題を感じ、トップに立つことへの執念も増大した。「選手をやっている以上は自分が一番になろうとしないといけないと思う」とキッパリ言い切る。

 この言葉を証明するように今年は常に賞金ランク上位に名前があった。1月の戸田GⅠ・60周年記念で地元周年初Vを飾ると3月には児島クラシックで通算2度目のSG優勝。「これでいい流れになったと思う。グランプリを目指すうえで序盤でGⅠやSGを取れたのは大きかった」と振り返る。

 ただ、5月のSGオールスターでの優出を最後に10月までSG、GⅠでの優出はゼロ。「昨年の方が1年を通じて成績にあまり波がなくて安定していましたね。今年は波があった。特に夏場はペラを合わせ切れずに成績を落としてしまいました」と反省する。

 それでも11月の下関SGチャレンジカップで優出(4着)し、賞金ランク3位を確保。直前の鳴門64周年も制して最高の流れで臨む。「順位が1つでも上の方がGPでは内枠になるし、その方がいい」と納得して大一番に臨む。その目標はただ一つだ。「最終日の12R(優勝戦)に乗って優勝を目指すだけです!」

【QC3位=長嶋万記(36=静岡・91期)】選手生活15年で一番の充実期を迎えている。年間8V。2017年後期の適用勝率は自己最高を大幅に更新する7・96のハイアベレージをマークしている。

「優勝とか、勝ち負けばかりにこだわらず一走一走を大事にしてレース自体を楽しもうという気持ちで臨むように切り替えてから優勝回数が増えて、好結果が出るようになりました」

 意識改革により成績が大幅に向上。実際に数字を残した者でなければその言葉に説得力はない。4年前の芦屋は優出5着、昨年の平和島では同3着。当大会は参戦した2回とも優出し、女子戦では常にV候補に名が挙がる存在となった。3月には児島SG「クラシック」に初出場し、4回目のSGで初の準優進出を果たしたことで次の課題が明確になった。

「SGを走らせてもらって男子のトップクラスとはターンやすべてにおいてレベルの差を痛感しています。それに今はあっせんが詰まり過ぎていて、自分のレースを振り返ったり、消化し切れていなくてレース内容には納得できてないですね」

 遠藤エミと小野生奈の2人はSG準優でも強豪と互角の走りを披露。それを目前で確認し「私もそこのレベルにいきたい」と刺激を受けている。

 3回目の年末の大舞台へ向け、意気込みはいつもと変わることはない。「結果にとらわれず楽しんでいけたらいいし、そこに結果もついてきたら最高ですね。大村も好きな水面だし今から楽しみにしています」。表情は実に生き生きとしている。