【女子ボートレーサー私の愛用品】今回はいまや“女子最強”と言っても過言ではない長嶋万記(36=静岡)のTシャツだ。

 自身のライフワークでもあるボランティア活動「マキプロジェクト」がスタートしたのは2009年。当初は障害者施設へのボランティアや賞金の一部を寄付するようになったのが始まりだ。

 もっとも当時の長嶋はまだB1級。「そんなことをしているくらいならターンの練習をした方が…」という批判は覚悟の上。「逆転の発想でやるからには強くなろうと」決意。一流レーサーとしての道を歩ませる転機にもなった。プロジェクトは東日本大震災や熊本地震への活動など、近年、ボート界全体を巻き込んだ一大ムーブメントとなりつつある。より効率的な活動のために、15年には「一般社団法人ZERO」を立ち上げた。

 女子選手の行動力と連帯意識は長嶋自身も驚くほどで、例を挙げれば松瀬弘美はこのために重機の免許を取得。また、先日、引退した糸数由里さんも江戸川での活動を中心に東北の支援に取り組んでいる。

 今後の目標は「後輩につないでいくこと」と継続性を訴える。社会貢献のためにはレーサーとしての本業も重要と、若手選手への指導も丁寧かつ献身的だ。

 苦しい時に読んだ本の一節にあったという背中の「万事良好」にも深い意味がある。レーサーなら少なからず波はあるが全て良好。

「苦しい経験があって成長できる」と自らの糧に変えている。

 本業でも今年8V、女子賞金ランク2位と絶好調。今後も長嶋の動向から目が離せない。

☆ながしま・まき=1981年5月28日生まれ。静岡支部の91期生。2002年にとこなめデビュー。通算優勝25回。同期は久田敏之、山口剛、松下一也、三浦永理ら。マキプロジェクトや長嶋の近況は自身が執筆しているブログ「長嶋万記のバードアイ」に詳しく掲載されている。身長165センチ。血液型=AB。