【大村ボートGI開設65周年記念・海の王者決定戦:周辺のおすすめグルメ】ボートレース大村は全国でも類を見ないほどの地域密着型のレース場として知られ、イベント会場ではさまざまな催しが行われている。今後も新しい企画に取り組み、市民に親しまれる癒やしの空間を演出していくが、大村ならではという“食”もある。120年間変わらない味を提供する元祖大村角ずし「やまと寿し」と、日本初の観光コーヒー園の「スコーコーヒーパーク」で大村の味覚を探訪してみよう――。

 大村でしか味わえないのは「大村ずし」。創立120年の老舗「やまと寿し」では当時から全く変わらない製法でいにしえの味を堪能できる。

 大村ずしの始まりは約500年前。当時の大村城主の大村純伊が城奪還を果たした勝ち戦に領民が喜び「もろぶた(木製の長方形の箱)」に炊きたてのご飯を敷き、上に近くでとれた白身魚や野菜を載せ押し寿しにしたものを将兵が四角に切って食べ、大いに喜んだというめでたいすしなのだ。

「だから大村ずしはお盆、正月、祝い事のときに食するのが地元では一般的なんです」と5代目代表の永田隆利さん。現場では父親で4代目代表の永田喜美男さんがまだまだ現役として腕を振るう。具材は煮込んだゴボウ、シイタケ、かんぴょうに奈良漬け、赤ハンペン、青ハンペン、錦糸卵。そして秘伝の調合の甘酢とご飯を合わせたシャリ。「もろぶた」にシャリを敷き詰め上にゴボウを全体に均等に散らし再びシャリを敷き奈良漬け、赤ハンペン、青ハンペン、かんぴょう、シイタケを散らし錦糸卵を全体を覆うように敷き詰める。最後に砂糖と甘酢を振りかけ、蓋を載せ上から体重をかけて押し付けて出来上がる。そのあと2枚の板を定規のように使い5センチ角に切り分ける。こうして一箱で91個の「大村ずし」が出来上がる。

 見た目も鮮やかな大村ずし
見た目も鮮やかな大村ずし

 一人前が5個。見た目にも鮮やかなすしは確かに祝い事にはぴったりだ。それに「シャリの味つけは120年前のまま。それがポリシー」という永田さん親子。確かにノスタルジーを感じさせてくれる逸品だ。

【やまと寿し】長崎県大村市本町474―5 TEL0957・52・3546 営業時間は店内での食事が午前10時~午後8時。持ち帰りは午前8時~午後8時。火曜日定休。長崎空港でも販売。当日賞味期限のため販売のみ。

 日本初の観光コーヒー園として1982年に誕生したのが「スコーコーヒーパーク」。約300坪の温室で成木、幼木合わせて約200本のコーヒーの木が育つ。なぜ大村でコーヒー園を?という疑問に、代表の中島洋彦さんは「そもそもコーヒーが初めて日本に伝来したのが長崎の地なんです。いわば日本のコーヒー発祥の地といえるのが長崎なんですよ。それなら、発祥の地でコーヒーを栽培してみたいというのがきっかけといえばきっかけですね」と話す。

 コーヒーは1600年代にオランダから長崎・出島に伝わったという。米国に移民した祖父がシアトルでレストランを経営。父親は18歳まで米国で暮らす。日本育ちの中島さんだが「コーヒーは3歳のころから飲んでました」というコーヒー通でもある。コーヒー農園経営の下地は既にあったわけだ。手間ひまかけて「無農薬栽培で年間70キロほどの収穫」というスコーコーヒーは隣接のレストラン「スコーズ」で味わえる。スパイシーでマイルドな甘い香りが特徴となっている。

 また「スコーズ」ではコーヒーだけでなく園内で育つマンゴー、パパイア、バナナ、ドラゴンフルーツなど亜熱帯植物を使ったオリジナルメニューも多彩で、フレンチトーストにマンゴーをあしらった「マンゴーフレンチトースト(700円)」が人気。

【スコーコーヒーパーク】長崎県大村市寿古町813―1 TEL0957・55・4850 営業時間 午前10時半~午後9時。木曜日定休。