【宮島ボートGIIIウエスタンヤング(6月29日開幕)注目レーサー(4)】身長145センチ――。現役ボートレーサー最小の樋口由加里(29)はなにか助けてあげたくなるようなかわいらしいタイプだ。だが、その見た目とは裏腹に、実は勝負に妥協を許さない厳しい面を持った、ストイックな女性だ。

 一般的に小柄なレーサーは小さな分、体重も軽く、ストレートは速いイメージだが、やはりターンでの踏ん張りが弱い。それを克服するために彼女は「最近はジムで自重を使ったトレーニングでバランス、体幹を鍛えています」とオフの間も余念なく体を鍛えている。その成果が17年後期適用勝率が自己最高の6・77を生んだ。

 レースが始まればピット内ではほとんど動きっぱなし。“陸の上”では常に走り回り、他の選手の手伝いなどをし、それが終わると自分のペラやエンジン調整。そして水面に出て試運転…。これを延々と繰り返す。「納得できるまで」一切の妥協をしない。それは師匠・田口節子からの厳しい教えがあったからこそ。

「田口さんはダメな私にペラなど厳しく教えてくれました」と田口イズムを受け継いでいる。そのメンタリティーやポテンシャルの高さを鑑みれば近い将来、女子タイトルを取れる“タレント”であるのは間違いない。

 男子相手となる「ウエスタンヤング」は今後を占う意味でも格好の試金石となるはず。ただ同大会では近3年、満足のいく成績が残せていない。「(WYで)準優に乗ったことがないし、夏場は(調子が)良くないんです。でもそのイメージを払拭したい」。今回の樋口は何かひと味違うムードを漂わせている。

☆ひぐち・ゆかり=1988年1月19日生まれ。岡山支部の102期生。2008年5月、児島でデビューし同年11月の徳山で初勝利。11年1月の鳴門で初優出、初V。同期は前田将太、山田康二、遠藤エミ、河合佑樹、滝川真由子ら。通算36優出5V。身長145センチ、血液型=B。