目指せ!「ヤングダービー」U-30の咆哮

【安河内将(27=佐賀・111期)】やまと学校111期の卒業チャンプとして将来を嘱望されながら、B級に低迷すること4年――。しかし昨年1月に一念発起し、東京支部から故郷の佐賀支部に移籍。すると成績は急上昇し、9月の平和島タイトル戦でデビュー初V。2017年前期は勝率5・94でA2級に初昇格し、17年の九州地区トップルーキーにも選ばれた。

「もともといつかは帰るつもりだったので。からつボート場のすぐそばに住むようになって、いつでも練習できる環境になりましたし、師匠にもすぐ会えますしね」

 その師匠とは峰竜太。やまと学校在籍時に唐津市出身であることを知った峰に“スカウト”され、弟子入りが決定したという。しかし111期から採用された「スポーツ推薦試験」に合格して入学した経緯もあって、デビューは受験地の東京支部。そのため「ずっと遠距離でした」(安河内)と、整備でも水面でも艇界トップクラスを誇る師匠の教えを請う機会も限られていた。それも移籍したことで解消。「レースのこともプロペラのことも他にもたくさんのことを教わっています」

 佐賀・小城高校では07年のセンバツ甲子園に出場。国学院大に進んでプロ野球を目指したがケガで断念した。だが高い身体能力を生かすべく、大学4年時にボートの世界に飛び込むことを決意。競技は変わっても、目指すのは頂点だ。

「まずはA1級に上がること。GⅠにも出られないですからね。そしていずれはSGで峰さんと勝負がしたいです。先にSG制覇? それもいいですね」。憧れの存在でもある師匠・峰と、最高の舞台でガチンコ対決することが最大の目標だ。

 初対決は昨年12月30日、地元からつタイトル戦の予選3Rで実現した。「先着したんですよ。ボクが2着で峰さんが3着でしたけど。実は峰さんは年間最高勝率がかかっていて…。それでも次の日にピンピン条件で実際にピンピンですよ。すごいです」。改めて師匠の勝負強さを見せつけられることとなった。

 トップを目指す上でステップにしたいレースがある。「今年はヤングダービーに出たいですね。今までは(勝率が)足りなくて出られませんでしたけど、今年はチャンスがあると思うので」と、若手レーサーの登竜門を視野に入れている。くしくも14年9月の第1回大会(戸田)では峰が優勝戦1号艇ながらFで散った因縁のレースだ。

「優勝すれば峰さんを超えることになりますね」。佐賀のホープはその目を輝かせた。

☆やすこうち・しょう=1989年10月27日生まれ。佐賀県出身。東京支部111期として2012年11月多摩川一般戦でデビュー。翌13年1月平和島で初勝利。16年1月に故郷の佐賀支部に移籍。同年9月の平和島タイトル戦で初優勝を飾ると、12月からつ63周年記念でGⅠ初出場。通算1V。同期には堀本和也、間野兼礼、竹井貴史、大豆生田蒼らがいる。身長168センチ。血液型=B。