【若松ボート・ナイターGⅠ全日本覇者決定戦(3日開幕):注目レーサー】篠崎仁志(28・福岡)は9月多摩川62周年で自身3個目のGⅠタイトルを奪取。続く芦屋64周年5着、とこなめヤングダービー5着、戸田タイトル戦2着。夏場からの好調はさらに続き、前走のからつGⅡ・MB大賞でも優勝と、最高の流れに乗っている。

 波に乗るきっかけとなった9月の4節を「一番しっかり合わせられたのは多摩川ですかね。芦屋は好モーターを引き、合ってなくてもパワーに後押ししてもらえた。とこなめはノーハンマーで何もしなかった。戸田は出てなくて苦戦したけど、これだけは記念ではなかったので」と振り返った。

 好調の要因は「いつも通りの調整をしているだけですよ」とあっさりしたものだが、その一方で「自分の体感を大事にしています。乗って(ペラを)叩いて、乗って叩いてを繰り返して。常に節一にはできないし、どこでいい妥協をできるか考えていますね。引いたエンジンの特徴を考えながら、バランスを取るようにしています」と自身の感覚が研ぎ澄まされてくれば、自然と結果もついてくる、ということだ。

 今年はグレード戦線でもコンスタントに優出を重ね、賞金もランキング上位に顔を出す。兄・元志とともにグランプリ出場ががぜん、現実味を帯びてきた。

「SGで優出したこともないのに、ここまでこれている。それは今年一年積み重ねてきた成果だと思うし、やはり(GP)出場を目標にしている」

 こうなると11月シリーズの重要度は、これまでとは比較にならないくらい跳ね上がる。「兄弟でどうこうというのは特に意識していない。ただ、自分は追う立場なので。いろいろ言われたりもすると思うし、兄のほうがプレッシャーは強いと思う」と兄弟揃ってのGP出場となれば、話題として各メディアに取り上げられる機会が激増するのは想像に難くない。メンタルコントロールはなおさら大事な要素となろう。

 意外にも若松出場は地元選手としては少なく、過去5年間で12節。だが「ナイター場に苦手意識はない。むしろ好きなくらい。でも若松は満潮だと乗りづらくなるし、潮や風でSが難しくなる。その辺は頭に入れている」と勝利へのイメージトレーニングはできている。

「若松は結果が出せてないレース場。記念で優勝戦に乗ったりだとか、もう少し結果が欲しい。福岡ではGⅠを取らせてもらったり、この前は芦屋でも優勝戦に乗れたりしたんですけど…。若松で結果が欲しい、という気持ちはあります」。自身が求めるのは何事にも動じない心と結果。その先に夢のGPキップがある。