目指せ!「ヤングダービー」U-30の咆哮

【北野輝季(27=愛知・101期)】昨年亡くなった上島久男さんの最後の弟子としても地元ファンにはおなじみ。上島さんはペラグループ「B―DASH」を主宰し、池田浩二、永井聖美、平本真之などを一流選手に育てたことでも知られる。「(やまと学校を卒業すると)次の日にはペラが作ってあったんですよ」と振り返る北野は、年齢的に孫のような存在で特別にかわいがられた。

 18歳でデビューし、今年は10年目のシーズン。デビュー5年ほどはB級暮らしだったが、13年前期選考期間(12年5~10月)に転機を迎えた。勝率5・39で終了し、コンマ01足りずA2を逃してしまった。

「それがすごく悔しかったんです。また、原田(幸哉)さんに見てもらうのに体重が55キロでは失礼だと思ったんです。礼儀としての減量という意味もありました。これは今年感じたことですが、かかりや押しといった足の部分だけじゃなくて“ここまでやった”という仕事に対するモチベーションにもなってますね」

 170センチを超える長身だけに減量は大変だっただろうが、原田や池田らと接していくうちに「ボートレーサーになってA1じゃないとカッコつかない」と取り組み方が変化した。

 プライベートでも“転機”があった。13年に結婚、昨年6月に娘・心彩(こあ)ちゃんも誕生した。「ホントかわいいです。家族3人の生活で夢がかなったって感じです」。一家の大黒柱としての責任感も飛躍の一助となっているに違いない。

 仕事の面で特に進化したのは、上島さんの“DNA”を受け継いだスタートだ。カマシで鳴らした上島さんと違って、平成生まれらしく(?)その成長はイン戦に表れた。昨年の1コース1着率64%から、今年ここまで77%と急上昇。相手が違うため一概に比較はできないが、前述の原田、池田、平本の3選手よりも上だ。平均STもコンマ12と抜群のキレ味を誇る。

 目標は「記念に呼ばれる選手になって、SGに行きたい」。来月に出場する地元とこなめプレミアムGⅠ「ヤングダービー」での活躍がその近道となるのは間違いない。それは同時に上島さんに対する最大の“師匠孝行”にもなる。

☆きたの・てるき=1989年2月28日生まれ。愛知支部の101期生。2007年11月とこなめでデビュー。同年12月の桐生で初1着。初優勝は10年8月とこなめ日本財団会長杯(通算2V)。同期は片岡雅裕、大池佑来、篠崎仁志、守屋美穂ら。身長172センチ。血液型=AB。