【ボート記者リレーコラム】一流レーサーの「名言」

2016年04月27日 09時22分

【ボート記者リレーコラム(1)】思わずドキッとする言葉に出合ったことはないだろうか? 現場で取材をしていると、選手が口にした何げないひと言に心を奪われることがある。そこで新企画「東スポ・ボート記者リレーコラム」第1弾では、ボート取材歴7年の記者がこれまでの取材活動で培った一流レーサーの「名言」を紹介。我々サラリーマンも共感できる「人生訓」をぜひご堪能あれ!

【オレに言わせりゃ8割がアマチュア】この言葉の主はインの鬼・西島義則だ。レース場では常にピリピリ、我々記者を近づけないオーラを発している。

 2010年3月、戸田GⅠ・53周年記念でレース後、エンジン格納作業をしているときに思い切って話しかけた。過去と現在の進入争いについて質問すると、不敵な笑みを浮かべ、広島弁でまくし立てた。

「昔は前づけあり、割り込みあり、前も後ろも気が抜けなかった。だからレースもいろんなパターンがあって面白かった。でも今は123456でいいという甘い考えが蔓延している。プロ意識を持ってる人間が少な過ぎる。俺に言わせりゃ…」と言い、くだんのセリフが飛び出した。

 記者に“お前はプロの仕事をしているか?”そう問われているような気がし、取材中は思わず背筋がシャンと伸びた。

【感情は“4周1マーク”で捨ててくる】水上で激しいバトルを繰り広げるボートレース。当然ながらレース直後の選手は喜び、悔しさ、怒り、様々な感情に満ちた興奮状態だ。

 しかし、中には常に冷静沈着な男もいる。その代表が須藤博倫。2011年11月、江戸川ボートで「なぜレース直後も感情を表に出さないのか?」と聞くとこのセリフが返ってきた。同支部の先輩・平石和男から受け継ぐ座右の銘だという。

 ボートレースは3周1800メートルの競技なので3周2Mが最終ターン。つまりゴールを切った後、ピットに帰るために回る“4周1M”で自分の感情をリセットして陸に上がるという心構えだ。

 我々一般人に当てはめれば、仕事で落ち込んだり、イライラしたりしても会社を出たら最寄りの駅でリセット。家庭に仕事の感情を持ち込むな、ということか。

【嫌われても構わない】できれば人に嫌われたくない。これが普通の人間の人情だろう。

 だがベテランのイン屋・西田靖は違う。2011年4月に取材した際、枠なりが増加した現状をどう思うか?と問うと、いつものように早口で、時折笑みを浮かべてこう言った。

「昔は進入がドロドロして面白かったけど、今それをやると『汚い』って思われちゃう。浮いちゃうんですよ。でもね、ボクは面白いレースがしたいから嫌われても構わない」

 そして、すがすがしい表情でこう続けた。

「ボクのこと嫌ってる人、たくさんいるけどね!」

 場の空気を読み、バランスを保つことが「美」とされる世の中。自分のポリシーを貫くために嫌われる覚悟と勇気を持った男はどれほどいるだろう。思わず自分の人生を回顧したのを覚えている。